英検2級の英語で聞いているので、かなり怪しいのですが、しかしどうもこの女性は「シリアへ帰りたい。 こんなところ人生じゃない。 1日12ユーロしかもらえない。 仕事が欲しい。」と言っています。 そして後ろの建物をさして「刑務所」と言っています。
よくわからないけれど、多分この女性はシリアから難民としてドイツかスウェーデンに来て、難民収容所にいるのですが、しかしその収容所は刑務所みたいだし、1日12ユーロしかもらえないので怒っているのでしょう。

そ、そんなこと言われても、ドイツだってスウェーデンだって高々数か月のうちに、自国の総人口の1%にも当たる難民を受け入れたのです。
宿舎を用意するだって大変だし、その支援費用だって大変な負担でしょう。
1日12ユーロと言っても、それって難民収容所で食事も住居も医療も完全に賄われた上で、更にお小遣いとしてもらえる額でしょう?
これってドイツやスウェーデンの低賃金層の食費・住居費・医療費抜きの可処分所得は超える額では?
しかしこれを「恩知らず!!」と言うのは間違っているのです。

だって難民様は大変な苦労をしてドイツやスウェーデンにいらしたのです。
そもそもトルコやヨルダンの難民キャンプは快適ではないにせよ、命の危険があるわけではありません。 もし難民キャンプが危険になれば、国際的大問題になるはずですが、しかしそんなニュースはないのです。
それどころかシリア国内だって全てが危険と言うわけでもありません。
それなのに難民様はワザワザ万里波頭を超えて、ドイツやスウェーデンまでいらしたのです。 莫大な費用を不法渡航業者に支払ってエーゲ海を渡り、バルカン半島と踏破してきたのです。
こんな苦難の旅をしたのは、ドイツやスェーデンに行けば、シリアやトルコでは絶対に得られない優雅な生活が得られると信じたからです。
人は全て苦労に見合う対価を求めるのものです。
だから彼女がその苦労相応の報酬を要求するのは当然ではありませんか?

それなのに1日たった12ユーロ!!
刑務所みたいな収容所!!
こんなに上手な英語でまくしたてる事ができるのだから、この女性は相当に教育もあり、シリアでは相当に豊な生活をしていたのでしょう。
だからそれを遥かに超える生活を期待して来たのです。
でなければ何の為に、莫大な費用をかけて、危険な命懸けの旅をするでしょうか?
ところが不当にもスウェーデンもドイツもその期待を裏切ったのです。
だから怒り狂うのです。
だってヨーロッパの人々だって知ってるはずでしょう?
あの毎日新聞の記者でさへ、「難民カワイソウ」には疑念を持つ程なのに・・・・。
メルケルさん、重い扉を開いた先、見てますか? 理想が先行した通貨ユーロの「二の舞」にならないか - 藤原章生 (毎日新聞記者)
トルコの難民キャンプは別に危険が無い事は。 そういう所から大変な苦労をしてヨーロッパにたどり着いた人達には、当然相応の報酬を用意するべきではありませんか?
それなのにこんな待遇で、しかもこのまま長らく彼女が望む仕事が得られなければ・・・・・。
もう難民を受け入れた事を感謝するどころか、「騙された」と思うしかないでしょう。

そして残念ながら彼女の望むような仕事は多分得られないでしょう。
だっていきなり人口の1%もの難民が来たと言う事は、それだけいきなり失業率が1%上がる事になります。 元々EU圏はどこも失業率は高いのに・・・・・。
しかも今のEUと世界の経済状況を見れば、こうして大量に出現した失業者を吸収できる雇用など簡単に生まれるはずもないのです。
そして英語が幾ら上手でも、ドイツ語やスウェーデン語はできないのであれば、他に余程の技能でもない限り、単純労働以外の仕事は無理でしょう。
そうなるともうドイツやスェーデンで低所得層として暮らすしかありません。 本国では中流以上だった人々にとって、これはもう屈辱以外の何ものでもありません。
なるほど・・・・・こうやって移民達に不満がたまるわけです。

ドイツ人もスェーデン人も全く善意で彼等を受け入れたはずなのに・・・・。
でもこの善意は実は相手を勝手に「カワイソウな人」と誤解した善意なのです。
言ってみれば質素な暮らしをしている人が、美味しい店を探して街を歩きまわっていた美食家を、飢えた気の毒な人と勘違いして自宅に招待して、自分達が日頃食べている質素な食事を出したような話です。
招待した側は全く善意でも美食家にとっては迷惑千万だったわけです。
だからなるほど招待した側が善意だった事は間違いないのですが、招待してくれた事を感謝しない事で、美食家だけを責められないのです。
更に言えばこれは純然たる勘違いと言うより、意図的勘違いでした。
つまり相手は美食家で美味しいモノがないから「お腹が空いた」と言っているのが明白であるのに、その事実を意図的に無視して、タダ「飢えた憐れな人」と信じようとした結果なのです。

ちなみにスウェーデンはこれから闇黒の冬を迎えます。
この国は国土のほとんどが北極圏ですから、夏至の頃には百夜になりますが、冬至の頃には一日中夜が明けない闇黒の日々が続くのです。
なんでもスウェーデン政府によって僻地のリゾート施設に送り込まれた難民達が、外出もままならない不便さの中で暗黒の日々を迎えて精神を病むと事が心配されているそうです。
そ、そんなこと言ったって・・・・。
そりゃ不便な所は嫌でしょうが、しかしいきなり大量に押し寄せた難民様に、住居を用意するのは大変なのです。 とにかくちゃんと冬の寒さをしのげる建物があれば、何処にでも入って貰うしかありません。
まして闇黒の冬なんぞ、スウェーデン政府にもどうしようもないのです。
しかしこれで難民様から精神病が続出したら、勿論「人権侵害」「虐待」と言われるでしょう。
現実を無視した一方的な善意と言うのは、結局滑稽で悲惨な結末を迎えると言う典型でしょう。

札幌は24日の雪以来、陰気な日が続いています。
それでワタシも気が滅入っています。
緯度がイタリアのトスカーナ地方と同じの札幌でも、今の季節は気が滅入るのに、これで北極圏の暗黒の日々なんて、ワタシだって精神病になるでしょう。
ちなみに昨日は在特会の「難民受け入れ反対デモ」があったのですが、ワタシは寝込んでしまって行けませんでした。
気がめいったからではなく、喘息でヘタれたからですが。
ホントは是非行きたかったです。
昨日デモに出て下さった皆様、済みませんでした。