民主党内閣によれば日本は少子高齢化の為、経済成長も期待できません。 だからそれを乗り越えるためには東アジア共同体と言うのを作れば良いそうです。
この民主党の言う東アジア共同体と言うのは、中国、韓国との共同体のようです。
しかしこれは実に奇妙な話です。 なぜなら中国、韓国共に高齢化社会であり、今後日本以上に深刻な高齢化が進む事が明白な国だからです。
ここではとりあえず中国の高齢化について簡単に書きます。
中国の統計は未だに非常に不正確なので、様々な説があるのですが、中国の高齢者問題によれば、中国は2006年には既に人口の11%を高齢者が占めています。
これがどのような事を意味するのかは日本と比べてみればわかります。

http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2005/2005honbun/html/H2135000.html
日本の場合、1990年の高齢化率が12%でした。 中国は現在これとほぼ同等の高齢化社会なのです。
日本の高齢化は、1970年代から進んだ晩婚化による出生率の減少と、医療の質向上による平均寿命の伸びで少しづつ進みました。 それで1990年から約20年掛けてそれが23%まで増えました。
その間に少子化による労働人口の減少もあり、経済成長の鈍り、また国民所得も増えなくなりました。

さて中国に戻りますが、中国はその1990年代と同等の高齢化社会に既になっていると言う事です。
それでも中国が現在もなを高度経済成長を続けているのは、中国の少子化が1979年から始まった一人っ子政策と言う世界史上類を見ない残酷で強権的なものによるからです。
つまり1979年にいきなり急ブレーキを踏んで人口増加を止めるまで、中国は爆発的な人口増加を続けていました。 その時増えた人がまだ現役労働者で、更にその子供達が労働市場に出てくるからです。
しかし現在30前の中国人は当然全部一人っ子です。 この親はまだ50代ですが、後10年でこれが高齢者になります。 この一人っ子達が両親を支えることになります。 更に今も一人っ子政策は続いています。
一人っ子政策が始まってからの出生率は日本よりも遥かに低いのですから、今後の高齢化のスピードは日本を遥かに凌ぎます。
2050年には人口の3分の1が高齢化します。
しかし早い説では2035年に3分の1が高齢化するというのもあります。 10年で一人っ子政策が始まる前に成人していた世代は全部高齢化するのですから、この説もそれほど意外でもありません。
今後この一人っ子政策を緩和しようと言う話もあるようですが、しかしそうなると今度はまた人口の増加が問題になります。
現在の出生率を維持しても中国の人口増加は、2025年まで続くのです。 そして今はまだ労働人口が増加中ですから、経済成長は続きます。 これで増加する人口の水やエネルギーが賄えるのでしょうか?

http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2005/2005honbun/html/H2135000.html
高齢化の問題は冷酷です。 今50歳の人は必ず20年後には70歳になるし、20年後に20歳の人の人口は、今の0歳児の数を超える事はありません。
でも日本でもそうでしたが、1970年代日本は高齢化の心配など殆どしていませんでした。 特に経済成長まっしぐらのときは、ノーテンキその物で、気楽に年金の原資を食い潰していたのです。( 年金雑感)
だから中国でも一般国民はノーテンキに構えているのでしょう。 でも問題の深刻さは日本とは比較になりません。
労働人口は2015年から急激に減少します。 だから中国の高度経済成長もそれまででしょう。
そして中国には、まだ全国民を網羅した年金制度はもとより、最低限の公的医療制度もありません。
それどころかいまだに義務教育の無償化さへできていません。
つまりそもそもまだ近代国家の最低限の要件さへ満たせていないのです。
勿論一部富裕層を別にすれば個人資産といえる持つ人はいません。
これで後10年足らずの間に高齢者を支える制度など作れるわけがありません。
だから後10年後15年後には想像を絶する悲惨な社会になるでしょう。
中国の指導者にすれば、それまでに何としても金や資源を奪えるだけ奪おうとするでしょうね。 それ以外に今後爆発的に増える老人を養う道は無いのですから。
そして若い中国人の移民を入れれば、その後10~20年でその両親2人を呼び寄せ、その人達が日本で生活保護と介護を受ける事になります。 それ以外に彼らに生きる道はないのですから。

これが中国の明るい未来と、東アジア共同体の現実です。