生活保護の「母子加算」 根強い反対意見に再支給なるか ≪川内博史氏≫
■廃止こそ問題、再度議論を
〇情緒的なものではない
--なぜ「母子加算」の復活が必要か
「『なぜ復活が必要か?』ではなく、『なぜ廃止したのか? 何を根拠に廃止したのか?』が問題だ。母子加算の廃止にあたって厚生労働省は『生活保護を受けている母子世帯の消費水準が一般の母子世帯のそれをやや上回っている』などと説明したが、根拠とした消費水準の統計は地域を示さず、サンプル数は極めて少ない。原票も見せてくれない。こんな乱暴な調査では統計としての有効性が問われても仕方がない。だからいったん、元に戻し、改めて生活の実態などを徹底調査したうえで、もう一度、議論すべきだ。今回の措置は『暫定的復活』というべきで、決して『かわいそうだから』といった情緒的なものではない」

厚生省が出した母子家庭の生活費調査の信憑性についてはわかりません。
しかし現在の生活保護費は自治体によって違いますが、単身者では13~15万円。 4人家族で27~28万円貰えます。
生活保護費は普通単身者で13~14万、それに家族が一人増える毎に3~4万円ずつ支給額が増える計算法で支給されます。
だから家族が多いと、一般勤労者では絶対稼げない高額が支給される事になります。
生活保護世帯は無税で社会保険も負担もゼロ、さらに医療費も全額免除、必要ならタクシー代も自治体が負担します。
一般勤労者はどんなに低賃金でも社会保険も医療費も自己負担です。
現在一部上場企業の初任給は殆どが20万弱ですが、これから社会保険や税金を引かれるので手取りは16~17万です。
しかし普通の勤労者は病気や失業に備えて貯金や生命保険等にも加入するので、実際にその手取りも全額使えるわけではありません。
ワタシの友人で野村證券の社員と結婚した人がいます。 彼が学生時代から「就職したらすぐ結婚」と決めていたので、就職半年足らずで結婚しました。
可哀相にこの夫婦も子供ができたら生活保護世帯以下の収入です。

--では再調査の結果によっては「再見直し」もあるのか
「結果次第では十分にありうるだろう。ただ1、2カ月の調査で簡単に結論が出るものではない。憲法25条は国民に『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』を保障している。『何が最低限度の生活か』は生活保護だけではなく、年金、介護、税金など、さまざまな分野にかかわってくる問題だ。だから、しっかりと厳密に議論をしないと、多くの人に影響が出てくる。調査には統計の専門家にも加わってもらい、結果をわれわれ(政治家)が検証したい」

政治家が検証しなければならいなら、検証してから復活するかしないかを決めればよいのです。
しかし民主党は検証も糞も無く、母子加算の廃止にはずう~~っと反対してきました。 そして検証する前に復活を決めたのです。
それを今から「検証していかなければならない」って嘘吐きも良いところです。
この母子加算廃止に反対する生活保護受給者達が、これを「生存権の侵害」として各地で訴訟を起こしましたが全員敗訴しています。
その時にも十分検証されたはずです。

〇国民の権利で憲法体現
--「甘え過ぎではないか」との批判もある。親が遊興費などに使ったケースも報告されている
「それは、ごく一部の人たちであり、『不正受給』という別個の問題だ。ほとんどの人はすき好んで生活保護を受けているのではない。どうしようもなくなって受けざるをえない人たちのことを議論すべきだ。しかもあくまで一時的な措置ではないか。この制度は働くことを前提にしており、それまでの間、お世話になるだけだ。この制度は国民の権利であり、憲法を体現する制度だ。明日私が、あなたがお世話になるかもしれない。個人の生活を情緒的に問題にするのではなく、最低水準の切り下げは『国力のレベルを下げること』につながる、と考えるべきだ」

生活保護費の不正使用がごく一部などと言う根拠はありません。
好き好んで受けていないと言う根拠もありません。
不正受給の話はいくらでもあります。
また「一時的な措置」でもありません。 今の支給金額が一般勤労者の水準から見てもベラボウなので、一度受給したら、二度と働きません。 それどころか生活保護世帯の4割が二代目です。
親が楽して高収入を得ているのを見れば、子供が真面目に勉強して就職する努力などしません。
札幌市では最近生活保護世帯への家賃支給を止めて、直接市が家主に払うことにしました。 そうしないと全額無駄遣いして家賃を払わない人が多いからです。
これは市側にすれば余分の手間が掛かるのですが、この人件費も全て市民が負担しています。
「最低水準の切り下げは国力のレベルを下げること」なんて言っても、最初から一般勤労者の賃金を上回る額なので、全然最低水準には関係ないのです。

--いわゆる「自己責任論」には反対か
「いえ、私も自己責任だと思う。ただし、最初に自己責任ありきなのか。それとも、『みんなで支え合う』という合意があっての自己責任なのか、では大きな違いがある。つまり、どういう社会を作っていくのか、というテーマにかかわってくる問題だ。働いても働いても年収150万円、家族4人が暮らしていけないような世の中なら働く意欲もなくなってしまう。生活保護だけで論じるのではなく、世の中をどう変えていくのかを、議論すべきだ」

皆で支えあう社会だから過剰な支給額が問題なのです。
働いても働いても年収150万の人などいません。 最初は150万でもしだいに収入は増えます。
しかし今の生活保護費の水準では真面目に働く人、社会的に貧困層と言われるには程遠い人の賃金水準が生活保護費を下回っているのです。
つまり今の生活保護費の支給水準がベラボウなのです。
ワタシの友人の野村證券社員夫妻も、夫は毎日残業と休日出勤が続いて、妻が新婚早々ノイローゼ気味になったのですが、少なくとも彼らを貧困層とは思えませんでした。
新婚の妻がノイローゼになるほど残業を続ける人が、税金を支払って、その税金で生活保護を受ける人がそれより豊かではあんまりです。
それこそ勤労意欲など無くなります。
生活保護費は本来なら、正社員でも生活保護支給額以下の収入で、財産等がなければ差額分を受給できます。
だからこの条件の国民が全員支給を求めれば、それだけで現在の日本の社会福祉も、国家予算も破綻します。
それを防いでいるのは、貧しくとも自立自尊の精神を失わず努力する人々です。
この川内議員はこのような人々を侮辱し、愚弄しているのです。

現在の生活保護費の支給基準ではあまりに高額で、病気やその他の理由で失業して生活保護を受給した人が、健康になってまた働くようになっても同等の額を稼ぐ事がきません。
家族の多い家庭などまず不可能です。
だから一度受給した人は二度と働きません。 イロイロ口実を設けて受給を続けるのです。
しかし国も自治体も福祉予算には限りがあります。 だから受給を申請する人には様々嫌がらせをして申請を受け付けません。
その結果、今度は本当に必要な人が受給できず餓死したりします。
生活保護の受給自体が一種の特権となり、一部の団体やカルト教団、そしてこの民主党議員のような連中の利権になっているのです。
人間は弱いものです。 働いたらよりよい生活ができるのでなければ、働きません。 そして働く人々は尊敬され、それに頼る人々は侮蔑されるべきなのです。
そうする事で人間の尊厳は守られるのです。