このところ不安定な天気が続いたのですが、今日は久々の秋晴れでした。 暖かい日差しに誘われてよもちゃんもお出かけです。
久しぶりね、こんなお天気は。 今日はチビちゃんが来なくてホッとするわ。 毎日子猫の相手はウンザリよ。 たまには大人の会話をし楽しみたいわ。
モモちゃんの所へでも行こうかなあ。 モモちゃんは意地悪でタカビーだけど、やっぱり大人だものね。 話していて学ぶところがあるのよね。 チビちゃんみたいな、子猫相手じゃ面倒臭いばかりなのよ。
でもやっぱり緊張するわね。 でもこの緊張感が大切なのよ。 自分に同意したり賛成したりしてくれる相手だけを選んで付き合っていては進歩しないわ。 そんな事をしていると、同居人みたいになってしまうわ。
あら、向こうから来るのはよも様みたいね。 なんの用事かしら? この頃毎日チビ様と揉めていて、ワタクシには面倒掛けなくてホッしていたのに。
モモ様こんにちは。 お久しぶりです。 よい所でお会いできてよろしゅうございました。 今お宅へお伺いするところでしたの。
まあそれはそれは、わざわざワタクシの所へお越しくださるなんて。 いえね、今日は日差しが強いのでこの日陰で休んでおりました。 でももうこんな日差しも後何日つづくのでしょうかね。 少しもったいない気もしますけどね。
ところで何の御用ですか?
いえ、特に用事はございません。 ただたまにはお話をしたいと思ったのです。 だってまた寒くなったら、お会いする機会も無くなるじゃありませんか。
さようですわね。 もう秋も真っ只中、冬の足音が聞こえてまいりました。 この年になると秋が来るたびに、次の春を迎えられるのか考えてしまいます。
でもそのためかなおさらなにもかもが美しくみえますわ。 夕べはリヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」を聞いたのですよ。 まるでこの日差しのようですわ。
あ、モモ様、デブ虎、今日は。 何の話ですか。 ジブンも仲間に入れてください。
何ですか? その口の利き方は? デブ虎なんて失礼な。 いくら本当でも少しは礼儀をわきまえなさい。
いいんですよ。 もうこの子はいつだってこうなんです。 生意気盛りだから仕方がありません。 ワタシだってこの子の年頃には大して自慢できない事もいたしました。
「四つの最後の歌」は確かに秋に聞くと、彼の人生を考え併せて痛切なものがありますわね。
ねえ、それはどんな事なんですか? ジブンはその歌知らないんです。
リヒャルト・シュトラウスは1948年84歳でこの曲を作ったのです。 そして49年に死にました。 だから本当に最後の歌になったのです。 でもその晩年に祖国ドイツの敗戦を見なければならなかったのです。 そして祖国のために努力した事を「ナチへの協力」とそしられなければならなかったのです。
音楽家として栄光の人生の最後を、苦悩で終わらなければならなかったのです。
だからこの歌は胸を打つのです。
なんだか今日は皆仲良しですね。 もうすぐ冬になって、外で会う機会も減ると思うと喧嘩も慎むのでしょうか? とにかく皆で音楽を聴くようです。 まずは「四つの最後の歌」の「春」から。
春
In dämmrigen Grüften Nun liegst du erschlossen Du kennest mich wieder, | うす暗い谷で 今、あなたは私の前に あなたはもう一度私を見つけ |