で、こんな動画をみました。
イギリスの医療待機者が750万人!!
2023年のイギリスの総人口は6800万人強ですから、人口の1割以上の人が医療待機状態だと言う事です。
つまり病気や怪我をしても、直ぐには医者に診てもらえない状態だと言う事です。
深刻なのは癌患者など、重篤な病気を抱えた人が、手術や検査に数か月待たされると言う事です。
これは深刻です。
ワタシの両親はどちらも癌で死んだのですが、両方とも発見から死亡まで4カ月余りでした。 あれを思い出すと、癌の疑いが出てから、検査や手術に数か月待たされると言うのは、患者や家族にとって地獄でしょう?
また救急車を呼んでも直ぐには来てくれないとも言います。
直ぐに来ないのでは救急車じゃないでしょう?
実はワタシは「イギリス毒舌日記」と言うイギリス在住日本人のブログを読んでいます。 イギリス人と結婚した日本人女性の日常雑記なのですが、医療に関しては上に貼った動画で、毒舌日記さんの記述に納得がいきます。
イギリスの医療は原則全額国費で無料なのですが、しかし診察の予約を取るのが大変なのです。
子供が痛みで泣き続けても、予約がないと診察してもらえない。
体調不良で検査の予約をとっても、それが何カ月も先になる。
などなど・・・・・。
ワタシは病持ちなので、始終病院に行くし、ドジなので救急車の厄介になった事も何度かあります。 夜間救急医療センターにも何度か厄介になっています。
怪我をすれば直ぐ救急車が来てくれる、休日でも深夜でも、対応してくれる病院がある。
ワタシはこれが当たり前だと思ってきたので、日本以外の先進国でも同様だと思って来ました。
ところがイギリスはそうじゃないのです。
それにしても一体イギリスは何でこんなことになったのか?
ワタシが物心ついた1960年代、イギリスは「揺り籠から墓場まで」と言う高福祉国家でした。
高福祉=高負担は国民の労働意欲を削ぎ、1970年代には経済危機に陥りました。
それでサッチャー政権が福祉負担を大幅に見直し、それによって危機を乗り越えました
それでも医療は福祉の中でも死活的な分野ですから、医療制度その物は抜本的には変えられななかったのでしょう。
しかしその医療の質が劣化を続けているのです。
動画のウプ主モハPさんは「イギリス政府には予算がなく、医療費を賄えない」と言います。 しかしこれも不可解なのです。
そもそもなぜイギリス政府に予算がないのでしょうか?
バブル崩壊から安倍政権成立まで日本は喪われた30年を過ごしました。
緊縮財政と金融引き締めを続けた事で、経済成長は世界最低レベルに留まり、賃金もほとんど増えていません。
企業利益も増えず、株価は下落を続けました。
だからGDP、賃金、株価などの経済指標を見る限り、正に「喪われた30年」だったのです。
更に悪い事に、賃金が上がらない上、雇用も悪く「就職氷河期」まで起きたお陰で若者の婚姻率が下がり、少子化が深刻化する一方で、高齢化率も深刻化しています。
お陰で現在日本の高齢化率は世界一なのです。
高齢化すれば医療費負担は否応なしに大きくなります。
一方イギリスは、こうした問題とは無縁でした。
リーマンショックなど大きな経済危機も、大胆で合理的な金融政策で乗り切り、GDPも賃金も順調に上がっています。
また移民もドンドン入れた為に、少子化や高齢化も日本程深刻ではありません。
勿論、インフレは進んでいます。 特に昨年からは10%前後の狂乱物価状態が続いています。
しかし税金は個人の所得税も、法人税も、消費税もみんな、名目所得、名目利益、名目価格からそのまま取るので、物価が上昇すれば、税収は増えるのです。
更に物価が上昇すれば、国債など債務は額面で返せばよいので、物価上昇すれば債務負担は減るのです。
だったらイギリスの国家予算も物価上昇と共に順調に増えて、医療費ぐらいは十二分に出せるはずではありませんか?
イギリスは一体どうなっているのでしょうか?
実は「イギリス毒舌日記」などヨーロッパの生活状況に関する話を読みながらいつも不可解に感じていた事があります。
賃金やGDPなどの経済指標を見る限り、イギリスは日本よりはるかに恵まれているはずなのに、経済指標の上昇率は日本を遥かに凌ぎ続けたのに、現実の生活レベルが日本と比べて恵まれているとも、ドンドン良くなっているとも思えない事です。
一般国民の生活についていえば、賃金と同様物価も上がっているので、一般国民からすると生活が豊かになったと言う実感は持てないでしょう。
これはわかります。
ワタシは高齢者特権で高度経済成長時を体験しているのですが、この頃のマスコミは全て物価上昇への怨嗟で満ちていましたが、しかし賃金上昇率が物価上昇率を上回っていた事については殆ど報道されませんでしたから。
けれども賃金の上昇が物価上昇を上回った事で、洗濯機・テレビ・冷蔵庫などの家電が一般家庭に普及し、大富豪だけの物であった自家用車や海外旅行も、特別なモノではなくなったのです。
それどころか郊外住宅街や農村部の住民にとって車は必需品になりました。
つまり物価高ばかりのマスコミ報道とは裏腹に、現実の国民生活はドンドン豊になっていったのです。
で、ワタシが不思議なのは、この30年で日本に比べたら賃金水準が遥かに高くなっているなら、イギリスの国民生活は明らかに豊になっているはずじゃないですか?
そして所得税・法人税・消費税などの税収は大幅に増えたはずなので、医療費のような死活的な福祉予算を必要なだけ出せず医療待機者が750万人!!、癌患者が手術や検査を長期間待たなければならない状況になるはずがない!!と思うのです。
ところが現実には、贅沢品が普及するなど、以前に比べて豊になったと言う感じが全くしないのです。 スマホとかノートパソコンとかバブル以降開発されて普及した物もありますが、しかしこれは日本でも欧米に負けないだけ普及しています。
そして日本では世界一の高齢化社会、長く続いた低成長率、賃金上昇率の低さなどの問題にも拘らず、医療水準は守り続けています。
救急車は呼べば直ぐ来てくれるし、体調が悪くなれば直ぐに病院に行き、そこで異常があれば検査や治療を受けるのに待機と言う程待機する必要もありません。
それじゃ、あの経済指標で比較した成長率とは何だったのでしょうか?
ワタシはこれが非常に不可解なのです。
実はワタシは以前「日本はこの30年間で先進国で唯一、実質生活レベルが上がった国」と言う一文を読んだ事があります。
しかしその根拠となるデーターを見つける事ができなかったので調べようもなく、今はこの一文の出どころも忘れてしまいました。
しかし一方で「この30年間で生活レベルが上がった」と言う話には、納得できる一面もありました。
例えば賃貸の床面積は喪われた30年の間も順調に上がっているのです。
賃貸住宅と言うのは基本的に庶民の住居ですから、その面積が順調に増加していると言うのは、庶民の住環境が良くなっていると言う事でしょう?
これはワタシも実感しています。
ワタシは1998年に母が死んで一人暮らしになりました。 その時一人暮らしの為の家探しました。
そしてその借家が老朽化したので、一昨年2021年に今の家に引っ越しました。
その時驚いたのですが、最初の借家探しでは結構あった風呂・台所共用の賃貸の所謂木賃アパートが完全に無くなっていました。
一昨年の借家探しでは、家賃2万円代の最低レベルの賃貸でも風呂と台所は完備していました。
また前の借家人が出た後、プロの清掃業者を入れて、完璧に清掃すると言う事が徹底していました。 それでどの賃貸も入った時の見栄えは新築同然になっているのです。
1998年の借家探しではそういう事はなく、古い賃貸など入るのが怖いような無残な状態で新しい借家人を迎えていたのです。
こうした経験からも、ワタシは少なくともバブル以降の30年で、日本の生活レベルが落ちたとは思えないのです。
バブル後の最大の問題は、「就職氷河期」のような雇用問題だったと思っています。
逆に言えば高度成長期のような生活レベルはあり得ない!!
現在では奨学金とバイトだけで暮らす苦学生のような立場の人でも、風呂なしキッチン共同の賃貸などでは絶対に暮らせないのです。
で、また元に戻るのですが、それではイギリスなど順調に経済成長を続け、賃金も上がり続けたはずの国の医療水準が何で下がっているのでしょうか?
そもそもこうした経済指標には何かマジックがあるのでしょうか?
非常に不可解です。