11月28日 CNN
(CNN) 英国系パレスチナ人の外科医で、パレスチナ自治区ガザ地区で患者の治療に携わったガッサン・アブシッタ氏は、10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルに対して攻撃を行って以降、四肢を切断された子どもの数が推計で700~900人にのぼると述べた。
アブシッタ氏は、数週間をガザの病院で過ごした後、最近になって英ロンドンに戻っていた。アブシッタ氏はロンドンで行われた記者会見で、麻酔薬や基本的な医薬品もない状態で、子どもたちの手術を行ったと振り返った。
アブシッタ氏は「私の推計では、四肢を切断された子どもは現在、700人から900人いる。中には、複数の手足を切断された子どももいる」と述べた。
CNNはこうした推計について独自に確認ができていない。
アブシッタ氏は、他の人たちを残して来たことについて罪悪感を抱いていると述べた。アブシッタ氏がガザを離れた後、複数の医療関係者が死亡したという。
アブシッタ氏はまた、ガザで最大規模のシファ病院の下にハマスの司令部があるというイスラエル軍の主張を否定した。
アブシッタ氏は「私は2009年以来、戦争のたびにシファで断続的に働いてきた」と述べた。アブシッタ氏によれば、14年には赤十字国際委員会から、イスラエル軍がシファ病院を爆撃すると脅迫しているとの情報が寄せられたという。
アブシッタ氏は、シファ病院について、典型的な、かろうじて機能している第三世界の政府系の病院以外の何かがあるといった兆候を目撃したことは一度もなかったと述べた。
イスラエル軍のガザ攻撃で最大900人の子供が四肢切断をするような怪我をした・・・・・。
本当なら酷い話です。
しかしこのアブシッダ医師がどのようにしてこの人数を推定したのかわかりません。
ガザ地区は世界でも最も出生率の高い地区なので、居住者の中の子供の割合が非常に高くなります。 そのガザ地区から多数の怪我人が出るような事態になれば、その怪我人の中に子供の割合も高くなるの事は想像できます。
しかし子供ばかりが怪我をするわけじゃないでしょうから、大人の四肢切断手術だって多数行われているはずです。 つまり四肢切断手術だけで大人子供あわせて数千人行われたはずです。
で、凄く不思議なのですが、この短期間でそれだけの手術が行える物でしょうか?
これほどの怪我人が出る戦闘の中で、これだけの手術を行っただけでなく、凡そであれその数を集計できるのでしょうか?
ワタシはこの数自体、非常に疑問です。
しかしそれ以前にもっと根源的な疑問があります。
この数が事実だったとして、責任はイスラエル軍ではなくハマスにあるはずです。
だからこの話がホントなら非難されるべきはハマスであってイスラエル軍ではないはずなのです。
なぜならガザ地区は2007年からハマスの支配下にあります。
ハマスは2007年以降、パレスチナ自治政府からガザ地区の行政権を奪い、ハマスこそがガザ地区の正当な統治機構だと公言してきたのです。
実際、ハマスは外部からガザ地区に入る物資に関税をかけたり、ガザ地区の警察権を行使したり、その他の行政サービスの一部を司っています。
「ハマスは単なるテロ組織ではない。 ハマスは福祉団体や政党など面を持っている。」と言うイスラム研究者・中東専門家がいるのはこのためです。
しかしそれならガザ地区の住民の安全を守る義務は一義的にハマスにあるのです。
自国が敵の攻撃を受けた時に、自国民を守る義務があるのは自国民の政府・軍隊なのです。
例えば日本の戦後教育では、旧日本軍は悪の権化とされていますが、これは戦後教育では太平洋戦争を始めたのが日本軍であるとされていると共に、その戦争で日本軍が国民を守らなかったと言う事になっているからです。
満州や沖縄では、日本軍は国民を見捨てたから許せないと言う事になっているのです。
戦後教育では太平洋戦争の日本国民の犠牲は全て日本軍が国民保護の義務を果たさなかったからであって、アメリカのせいではない事になっています。
実際ハマスには国民保護の義務があります。
だからイスラエルのガザ攻撃でガザの子供達が大勢犠牲になっていると言うなら、その責任は全部ハマスにあるのです。
イスラエルはガザ攻撃の前に避難地区を設置し、住民に避難を呼びかけました。
そして避難するのに十分な時間を空けた後に攻撃を開始しました。
本来であればハマス側がこの期間中に、住民をイスラエル側が設置した避難地区へ誘導するべきだったのです。
また病院など避難不能な人達がいる施設は、国連など第三者機関の管理に任せて、完全な中立地帯として戦闘を避ける措置を取るべきでした。
更にハマスはガザ地区全体に500キロとも1000キロとも言われる地下道を掘っていました。
本来ならハマスは、避難不能な人達、避難が遅れた人達を、地下道に退避させて、地下道にいるのは非戦闘員であることをイスラエル側に明示するべきだったのです。
ハマスにはこのようにして非戦闘員の安全を確保する義務があったのです。
イスラエル軍のガザ攻撃は10月7日のハマスの大規模テロが原因で起きた事です。
こんなテロをやればイスラエル側が大規模な報復攻撃を行う事は自明でした。 そしてイスラエル側はガザ攻撃の前に、攻撃を予告し、非戦闘員の退避を促しているのです。
だったらハマス側もイスラエル軍の攻撃に備えてまずやるべき事は、非戦闘員の退避のはずです。
イスラエル側が事前に非戦闘員の退避を勧告し、必要な時間も与えているのですから、それでも大量に非戦闘員の死者が多数出たと言うなら、それはハマス側の責任と言うしかありません。
しかしハマス側が住民の避難を助けた形跡は一切ないのです。 それどころか避難路に爆弾を仕掛けて避難中の自動車を吹き飛ばすとか、避難する住民を狙撃するなどしています。
ところが戦闘開始以降、ハマスは繰り返し「子供が死んだ!! イスラエルが悪い!!」と言い続けているのです。
しかも明らかに犠牲者数を実際の数十倍に膨らませている節があります。
これがハマスのプロパガンダなのです。
ワタシはこう言うのを見ると、白けるばかりです。
しかし世の中にはまんまとこれに乗せられて「イスラエルが悪い!!」と喚いている人も沢山います。
何でこんなことになるのでしょうか?
これはこうしたプロパガンダでは、事実関係を論理的に説明して理性に訴えるより、悲惨な写真や動画をアップして感情を煽る事の方が有効だからでしょう。
豊かな感性を持つ人達は、子供の死体や無残な手術跡など悲惨写真や動画を見せられると、その動画や写真で思考が停止していまうのです。
それで何でこんな風に子供が死んだり、四肢を切断する嵌めになったのかを理性的に考えるより、こんな写真や動画を示して「イスラエルが悪い」と叫ぶ人間に同調してしまうのです。
更に言えば、日本人は勿論、世界の大多数の人達にとって、中東と言う地域はよくわかりません。 日常生活で中東を考える機会など皆無なので関心の持ちようもないのです。 だからハマスとガザ地区の関係は勿論、ガザ地区の意味も分かりません。
だからテレビや新聞の解説も適当に聞き流すだけです。
このような状況で、血だらけの子供の写真など見せられて、子供の親と称する人物が「イスラエルが悪い」と叫べば「そうかイスラエルは悪いんだ。」と思ってしまうのです。
ハマスはこうした人間の本性を直感的に理解しており、自分の責任を見事にイスラエル軍に転嫁して、被害者ポジションを取っているのです。
それにガザ地区は子供の8割が栄養不良と言う貧困状態です。
ガザの人達がカワイソウなのは事実なのです。
一方イスラエルは堂々たる先進国で、民主主義国家で、高所得で、人口1000万に満たない小国なのに世界軍事力ランキング18位と言う強国です。 因みにロシアのウクライナ侵略戦争が始まる前のウクライナはランキング22位ですから、イスラエルの強国ぶりが際立ちます。
これは全てイスラエル人の努力の賜物ですが、しかし人間は元来妬み深い狭量な生物なので、本人の努力の結果であっても、成功してリッチに暮らす奴になんか同情しないのです。
そこでハマスは臆面もなく自分達の責任を放棄して、それどころか女性や子供を人間の盾として利用しながら、犠牲者数をモリモリにして「イスラエルが悪い!!」と喚き続けるのです。
これはプロパガンダの手法としては高度とは思えません。
唯々下劣で恥知らずな方法です。
けれどもハマスはその下劣を恥じないので、堂々とこの手法を使うのです。
そしてそもそもパレスチナ問題の現実、中東の現実に殆ど興味のない人々にはそれなりに有効です。
だからこの方法を使い続けいるのでしょう。
しかし大変奇妙な事に、多くの報道機関、そして中東専門家或いは国際政治学者が、この下劣で恥知らずなプロパガンダを手伝っています。
上記のCNNの記事でも、ただ多数の子供が四肢を喪ったと言うパレスチナ系英国人医師の意見を報道するだけです。
本来ならこのような場合、「子供達はなぜ怪我をしたのか? ハマスはなぜ子供達を安全な場所に避難させなかったのか?」と突っ込むべきではありませんか?
さらに言えばハマスは元々「女性や子供は大義の為に差し出す」と公言していました。 彼等は前々から女性や子供を人間の盾に使ってきたのです。 そしてこれを公言していたのです。
中東専門家、国際政治学の専門家は当然皆これを知っていたはずです。
ところが彼等は揃ってこの点を問題にしてこなかったのです。
中東研究者である飯山陽博士は、こうした報道機関や中東研究者の姿勢を「イスラム左翼主義」からだと説明しています。
つまり報道機関や人文科学者全体に、イスラム過激派が共産主義に代わって革命を起こしてくれると言う願望を抱いており、その為イスラム研究者もマスコミもイスラム過激派の悪事を隠蔽しようとしていると言うのです。
ハマスはこのイスラム左翼主義に便乗して、ひたすら「虐げられた憐れな被害者」を演じ、イスラエルを「アメリカの分身、よって悪の権化」と叫び続けると言う訳です。
こうなるとハマスのプロパガンダと言うよりも、欧米や日本の人文科学者や報道機関の自発的プロパガンダであり、ハマスはこれに便乗しているだけと言うべきでしょう。
けれどもワタシはこんなプロパガンダに乗せられてはならないと思います。
確かにガザ住民はカワイソウです。
でもガザ住民をカワイソウな状態にしているのは、ハマスだからです。 ハマスがガザを実行支配して以降、ハマスはひたすらガザ住民を搾取して、貧困化させています。
そしてイスラエルにテロを行い、反撃されたら住民、女性や子供を人間の盾として使い、自分達は地下道に逃亡しているのです。
だからこんなハマスのプロパガンダに乗せられて「ガザの子供達カワイソウ!! イスラエルが悪い」なんて言ってはイケナイのです。
だってこうやってハマスのプロパガンダに乗る人達がいる限り、ハマスもハマスの同類のテロ組織も生き延びるのです。
そして彼等はテロを続け、無辜の人々を殺し続け、ガザの住民を搾取し続け、人間の盾として使い続けるのですから。