この問題は韓国の自称徴用工達が戦時中の勤務先である日本製鉄(現新日鉄)を提訴した裁判で韓国大法院が新日鉄に対して「慰謝料」の支払い命令の判決を出した事から始まりました。
この判決文を日弁連が日本語訳してHPに掲載しました。
それでワタシもこれを読んで、この判決文について、このブログでも2度に分けてエントリーしています。
ワタシは三流大学の工業化学科卒なので、判決文なんてモノを読んだのはこれが生まれて初めてだったのですが、何とも異常な文章で、日弁連の弁護士たちはこれを読んでどう思ったのか、これで本当に法律的な整合性があると思えるのか、一人一人聞いて回りたい気分になりました。
しかし実はこの裁判についてワタシはもっと根源的な疑問があります。
それは「何で被告が民間企業なのか?」と言う事です。
韓国ではこの新日鉄裁判の他にも自称徴用工からの提訴が多数起きています。 これらは皆「戦時中に徴用された事について賠償しろ」と言うモノです。
この原告達は皆「徴用=不当な強制労働」とした上で、当時の勤務先の企業を提訴しているのです。
で、ワタシはこれ凄く奇妙なのです。
だって徴用と言うのは徴兵と同じく国家の命令による動員なのです。
徴兵令状と同じく日本政府が日本国民に対して令状を出して、国民はそれに応じる義務があったのです。
徴兵と違うのは罰則が緩々だったことと、個人だけではなく民間企業など法人も対象になった事です。
だから大変この裁判が不思議なのです。
つまり徴用は国家による強制動員なのです。
だったら徴用されたことを不当として告訴するなら、その被告は日本政府であるべきです。
日本では戦時でも民間企業が国民を強制労働させる権限などなかったのです。
因みに韓国大法院の判決文を読むとわかりますが、実はこの裁判の原告達が働いていた新日鉄の工場も「徴用」されています。 原告達は徴用された工場で働き続けたので、その意味では「徴用工」と言えないはないかもしれません。
しかしこれも判決文に明記されていますが、原告達は新日鉄の求人広告を見て応募して採用されてたのです。 徴用令状を受けて新日鉄での労働に動員されたわけではありません。
つまりどこからどう考えても、新日鉄が彼等を「徴用」したとはいえないのです。
それどころか「徴用」を不当で過酷な制度とするなら、工場丸ごと徴用された新日鉄も被害者なのです。
だから「徴用」を不当な強制労働と言うなら、原告達は日本政府を提訴するべきだったのです。
本来であればこういう提訴自体が無効になるはずです。
だって関係ない相手を提訴しているわけですから。
新日鉄側は日本政府の制度や法令に従っただけで、それが原告達にとって不愉快であっても、新日鉄側にはどうしようもないのですから。
ところが大変不思議な事に、韓国大法院は新日鉄に対して原告への「慰謝料」支払いを命じたのです。
慰謝料???
ワタシはこれも非常に不思議なのです。
原告が要求していたのは「賠償」だったはずです。 それが何で慰謝料に化けたのでしょうか?
再度言うけど、ワタシは三流大学の工業化学科卒なので、判決文なんてモノを読んだのはこれが生れてはじめて、そもそもあまりに面妖な文章なので完全に理解していると言う自信はありません。 そして法律や裁判に対する知識も殆どゼロです。
でも慰謝料と賠償って違うでしょう?
例えば交通事故の場合、車の修理費や怪我の治療費、休業補償などが賠償で、事故で痛い思い辛い思いをしたことを「慰謝」する為に出すのが慰謝料でしょう?
しかしこの判決文では原告の賠償請求は無視して、原告に「慰謝料」の支払いを命令しているのです。
判決文自体があまりに面妖で論理がグチャグチャなので低学歴のワタシには完全には理解できていないかもしれませんが、この慰謝料請求の下りで韓国大法院は「日韓併合の不法性」を持ち出しているのです。
つまり「日韓併合が悪いから、当時の事全部悪い、だから慰謝料支払え!!」と言うのです。
しかしねえ・・・・・。
新日鉄が日韓併合をしたわけじゃないです。
日韓併合なんて国家の外交の責任は国家・政府に問うしかないのです。
ところが韓国大法院は平然と民間企業に、「日韓併合への慰謝料を支払え」と言うのです。
もうホントに無茶苦茶でしょう?
自称徴用工裁判については、もう最初から最後まで全部論理が滅茶苦茶で突っ込みどころが多すぎる為、皆混乱しているのだと思います。
しかしワタシは実はこの裁判の最大の問題は、原告は徴用と言う国家の制度に対する「賠償請求」をなぜか民間企業に対して行い、大法院が日韓併合と言う国家の外交に対する「慰謝料」を民間企業に命じた事だと思っています。
皆様はどう思いますか?
法律に詳しい方がいらしたら教えてください。