少子化対策と言うのは、結局子育て世代を支援の為の予算を出す事です。
しかしその資金は税金か社会保険料で出す心算なのです。
税金も社会保険料も、多くは子育て世代が払うのです。
子供が税金を払うわけはないし、子育てを終えた高齢世代も、多くは退職して所得が減っているので社会保険料も所得税もそんなには払いません。
一方子育て世代は20代半ばから50代の現役世代なので、所得も多くその為社会保険料の負担も現在既にもっと重いのです。
消費税にしたって、子供を養っている人達の方が、自分一人、夫婦二人分しか消費しない人達より多く支払う事になります。
つまり税金や社会保険料を財源に少子化対策をしようとすれば、子育て世代から財源を搾り、それをまた子育て世代に返すと言う事にしかなりません。
しかもその間に徴税の経費や分配の経費がかかります。
そして怪しい団体が色々入って中抜きする事になります。
これはニワトリの羽根を毟って、その羽根をもう一度、元のニワトリに植えるみたいな話で、結局ニワトリには苦痛にしかなりません。
これでニワトリが産む卵が増えるわけがありません。
だから税金や社会保険料を財源にしての少子化対策はやるべきではありません。
どうしてもやると言うなら、国債発行など国民の負担にならない形でやるべきです。
国民が結婚や子育てに意欲を持つようになるには、むしろ減税して経済を活性化して、将来の生活に不安を持たないようにするべきです。
そもそも少子化が深刻化したのは、就職氷河期からです。
就職氷河期は第二次ベビーブームで生まれた人達が成人して就職する頃に始まりました。 だからこの時期は若者の数は結構多かったのです。
しかし就職氷河期の為に、定職に就けない、正社員になれない人達が、多数出てしまいました。
それまでは日本は新卒者が就職に困ると言う事態は殆どなかったのですが、この時期はホントに悲惨でした。
就職できなければ、結婚なんか考えられるわけもないのです。
だから本来なら結婚して子供を産んでいる人達が、独身のまま非正規職を続ける事になってしまいました。
定職もない人達が、無責任に子供を産んでいたらもっと悲惨でしたから、独身を守り子供を作らなかったのは、正しい選択だったとしか言えないのです。
こういう事例を考えても、子供を増やしたければ、最も重要なのは、若者に仕事と所得を保障する事です。
増税や社会保険料の増額などは、最も有害な政策だと言わざるを得ません。
そしてそれ以前に根源的な問題ですが、少子化ってそんなに悪い事でしょうか?
子供がドンドン生まれて、人口が増える社会と言うのは、確かに活気はありますが、現実的には非常に厳しい社会です。
なぜなら社会が用意できる雇用や生産手段が、人口の増加に追い付かないからです。
つまりマルサスの人口論の問題が具現化している状態になります。
日本は明治以降、人口が増え続けたのですが、これは日本が欧米と伍して植民地獲得に乗り出した理由です。
戦前まで日本では農業が国の主産業で、農業人口は今よりはるかに多かったのです。
だから農家で子供が増えると、増えた分の子供達は農地を分けてもらえません。
でも工業など彼等を雇用するような産業が、人口増加と同じペースで増えるわけじゃないのです。
だから国家はこの子供達の仕事、生活手段を確保しなければならいし、国民もそれを期待します。
それで国民がこぞって植民地獲得、帝国主義を支持するのです。
今、中東やアフリカは凄い人口増加が続いていて、若者も凄く増えています。
しかし多くの国はこれらの若者に職を与えられていません。
勿論、過去の日本や欧米列強みたいに植民地獲得なんてできないので、国家全体が非常に不安定になっています。
仕事がなくて不満が一体の若者が沢山いるんじゃ、国家が不安定にならない方が不思議です。
出生率が下がり、人口が減るとそういう活気はなくなります。
また人口が減る事で生産力も減るでしょう。
しかし人口が減れば消費も減るのです。
生産と消費のバランスがとれていればそれで良いではありませんか?
むしろ無理に人口を増やす為の人為的な操作の方が問題を産みます。
人口操作って難しいのです。
過去に中国では無理矢理人口増加を抑制しようとして、一人っ子政策を行い、それで強制堕胎など、非人道的な事をやりまくりました。
でも実はベトナムなどこうした人口政策しなかった国々でも、国民が所得が一定になると人口増加は止まりました。
またルーマニアなど社会主義時代には、人口増加の為に堕胎を禁止しました。 すると捨て子が大増加し悲惨な事になりました。
だって育てられないから堕胎するのに、それを禁じられたら捨てるしかないのです。
そして国家全体が貧困状態なら、捨て子を育てる施設だて劣悪な状態になります。
それなのに無理矢理子供を産ませたのだから酷い話です。
子供を産むか産まないか?
結婚をするかしないか?
これは人間にとっても最も重要で、しかも個人的な問題です。
そういう問題に国家権力が介入するのは、絶対に避けるべきなのです。
国家にできるのは健全な経済を守り、国民が安心して結婚や出産をできる環境を維持する事だけです。
そしてそれが国家にとって、最も重要な仕事ではありませんか?
岸田総理に言います。
余計な事すんな!!