2023年6月3日 朝日新聞
名古屋市が復元をめざす名古屋城木造天守のバリアフリー化をめぐり、市が主催した3日の市民討論会の中で、エレベーター(EV)の設置を求める意見を述べた身体障害がある男性に対し、他の参加者から差別発言があった。
市民討論会は名古屋市中区内で開かれ、市側が住民基本台帳から無作為に選んだ18歳以上の参加希望者が出席した。河村たかし市長も参加した。
現計画のバリアフリー化案では、地階から少なくとも1階まで車いすの人が利用できる小型の昇降機を設置するとしている。それより上層階の具体的な整備案は定まっていない。だが「史実に忠実な復元」をめざす河村市長は昨年12月、天守最上階まで昇降機を設置しないことを許容する発言をし、障害者団体が「障害者に対する人権侵害で到底承服できない」と抗議していた。
討論会では、車いすの男性(70)が天守最上階まで車いすも運べるEVが設置されなければ、「障害者が排除されているとしか思えない」と市側に訴えた。
その直後、EV不要の立場から2人の男性が発言した。最初の男性は車いすの男性に対し、「河村市長が作りたいというのはエレベーターも電気もない時代に作ったものを再構築するって話なんですよ。その時になぜバリアフリーの話がでるのかなっていうのは荒唐無稽で。どこまでずうずうしいのかっていう話で。我慢せえよって話なんですよ。お前が我慢せえよ。エレベーターを付けるなら再構築する意味がない」などと話した。
次に発言した男性は身体障害がある人への差別表現を使った上で、「エレベーターは誰がメンテナンスするの。どの税金でメンテナンスするの。その税金はもったいないと思うけどね。毎月毎月メンテナンスしないといけない。本当の木造を作って」などと話した。
この2人の男性の発言の後には会場の一部からは拍手も起きた。
河村市長は報道陣から差別発言があったことへの見解を問われ、一部は「よう聞こえなかった」とした上で、「自由に言ってもらうのが前提で、広い気持ちで考えるのが普通ではないですか」と話した。一方、市の担当者は差別発言があったことを認めた上で、「個人の勢いで言われたことで、制止することはしなかった。今後の運営の課題としては受け止める」と話した。
車いすの男性は「頭が真っ白になるくらい傷ついた。市には発言を止めて欲しかった」と話した。(寺沢知海)
名古屋城は第二次大戦時の名古屋大空襲で全焼しました。
名古屋城は戦後間もなく、コンクリートで復元されました。 ワタシも小学生時代、名古屋で暮らしていた時に行った事があります。
但しこの名護屋城は城の形だけ真似たコンクリートの近代建築で、中はホールや展望台などになっていました。
日本のお城の多くが県庁所在地の中心にあったために、多くが空襲で焼かれました。 そしてそれらのお城の多くが、名古屋城同様にコンクリートで復元されたのですが、しかし近年、漸くこれを木造で空襲前の姿に復元する試みがなされるようになったのです。
名古屋城は実は空襲の前に、空襲に備えて金の鯱始め、城内の襖絵等外せるものは全部外して城外で保管していました。 また城の設計図である城郭縄張り図も、保管されていました。
これらはコンクリートでの復元では使われず、長く眠り続けていたのですが、今回の復元で漸く名古屋城のあるべき場所に戻る事ができるようになりました。
で、これ差別発言だと思いますか?
>河村市長が作りたいというのはエレベーターも電気もない時代に作ったものを再構築するって話なんですよ。その時になぜバリアフリーの話がでるのかなっていうのは荒唐無稽で。どこまでずうずうしいのかっていう話で。我慢せえよって話なんですよ。お前が我慢せえよ。エレベーターを付けるなら再構築する意味がない
きつい言い方だとは思います。
特に「どこまでずうずうしいのかっていう話で。我慢せえよって話なんですよ。お前が我慢せえよ。」の部分は一言多いでしょう。
しかし他の部分は全くその通りです。
空襲前の名古屋城にはエレベーターもないし、そもそもバリアフリーじゃないのです。 そもそもお城ですから。 お城ってそれ自体が堅固なバリアーで、そのバリアーで攻め込む敵を撃退する為の施設なのです。
だから空襲を免れて現在も残っているお城、例えば姫路城や松本城にもエレベーターなんかないですよ。
むしろ天守閣に登るには、現代人なら健康な人で怖いような狭い急峻な階段の上り下りを覚悟しなければなりません。
「天守最上階まで車いすも運べるEVが設置されなければ、「障害者が排除されているとしか思えない」」と言うのであれば、姫路城や松本城など現在残っているお城は全て障碍者を排除しています。
因みにこれはお城だけではないし、日本だけでもありません。
近代以前の建築ではバリアフリーなんて概念自体ないし、車椅子もないので、お城以外の建築でもバリアフリーではありません。
ヨーロッパでも教会の入り口に階段があったりするし、その階段に車椅子用のスロープがついているわけでもありません。
お城に至っては、完全に要塞の体ですから、中の移動は健脚の人間でも足元に気を使います。
車椅子対応が全くゼロと言うわけではないようですが、しかし建物の保存や文化的価値の維持とバリアフリーを天秤にかけると、保存や文化的価値の維持に重きが置かれている印象でした。
で、今回の名護屋城復元も空襲前の名護屋城の再現に価値を置く修復ですから、完全バリアフリー化はあり得ないと思います。
むしろ城内の移動には急峻な階段の上り下りが必要で、城内の生活は結構厳しいと言う事も理解する事に価値のある復元なのです。
勿論これは復元ですから、現在残っているお城とは違うと言う考え方もあります。
実際、完全復元と言っても、スプリンクラーなどの防火施設や清掃やトイレの為の水道の配管などは絶対しなけれならないでしょうから、本当に江戸時代のままとはなりません。
だったらバリアフリーだってと言うのも言うの一つの考え方です。
しかしそれはそれとして、だったらどこまで復元するべきか? と言う問題について率直に討論するしかありません。
ところがこの記事を見るとわかりますが、朝日新聞はこの率直な議論を必ず妨害するのです。 その時持ち出すのが「差別」です。
文化的価値や城郭の意味も無視して、バリアフリーでなければ差別だ!!
そしてバリアフリーに対する反対意見に対して、「市には発言を止めて欲しかった」と言うのです。
バリアフリーへの反対意見を全部差別として禁止するのでは、公聴会を開いて市民に自由な意見を述べてもらう意味がありません。
でも朝日新聞の意図はわかります。
朝日新聞って差別が大好きなのです。 朝日新聞のやり口っていつもそうですが、特定の集団を差別されている弱者として、その集団に反対する意見を全て差別として猛烈に非難して封殺しようとするのです。
そうやって不都合な意見を封殺して、その集団に関わる利権団体を太らせてきたのです。
これって同和利権と同じやり方です。
さらに言えば、河村市長のように朝日新聞にとっては気に入らない政治家を糾弾するには差別ってホントに格好の口実です。
だから朝日新聞は差別がこうやって差別を愛用するのです。
ワタシは差別自体は悪い事だと思いますが、しかしそもそも定義も曖昧な言葉をこのように濫用するのは大問題だと思います。 だから今後このように差別を持ち出すなら、差別と言う言葉の意味をきちんと定義するべきだと思うのです。
因みに「市には発言を止めて欲しかった」と言う男性には申し上げます。
他人の意見を聞く事ができないなら、公聴会などには出ない方が良いです。
貴方には貴方の言いたい事を言う権利がありますが、しかし他人もまた同様の権利があるのですから。