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2022-11-22 12:30

3000年反省しろ? FIFA会長

 カタールのワールドカップが始まりました。
 ここでFIFAの会長がこんなことを言っていました。

11月20日 クーリエジャパン

 国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティノ会長は、ワールドカップ(W杯)カタール大会の開幕を翌日に控えた11月19日の会見で、同国での外国人労働者の扱いに対する批判の声を「偽善」だと断じた。

 欧州では開催国カタールにおける外国人労働者問題やLGBT(性的少数者)に関する権利などについて批判が高まっており、インファンティノ会長は時折怒りを込めた口調で欧州側の批判の声を非難した。

「私は欧州の人間だが、欧州の人間は道徳的な教えを説く以前に、世界中で3000年にわたりやってきたことについて今後3000年謝り続けるべき」とコメント。

 さらに「困っている人々を助けるためにこそ教育に投資し、よりよい未来と希望を与えなければならない。完璧でないことはいくつもあるが、改革と変化には時間がかかることをわれわれ自身が学ぶべき」とも主張。「一方的に道徳的な教えを説こうとするのは単なる偽善だ」と語った。

 同会長は「12年前にカタールでのW杯開催を決定したことをいま批判されても受け入れがたい」とし、「カタールは大会への準備ができており、史上最高のW杯となるだろう」と述べた。

 ここでこの会長が言う欧州でのカタールでのワールドカップ開催についての批判については日本ではあまり報道がないようです。
 ワタシもわかりません。
 
 しかし会長の発言からすると、欧州ではカタールでの外国人労働者の取り扱いについて、人権侵害などの批判が出ており、それを理由にカタールでの開催に反対する声が出ていたのでしょう。

 カタールでの外国人労働者の扱いにどんな問題があるのかワタシは知りませんが、カタールだけでなく中東産油国はどこでも、随分と過酷な扱いをしていたのは知っています。
 これら中東の産油国はどこも人口は非常に少ないのに、大量の石油が出るので、国民生活は大変豊です。

 そこで豊かになった国民はこぞって外国から労働者を雇いました。 メイドなど家事使用人、建設労働者、医師、看護師、教師など、あらゆる職種で外国人労働者を大量に受け入れていました。
 そして家事使用人や建設労働者などは、文字通り低賃金での奴隷労働を強いていました。
 
 その一方でこうした労働者が勝手に仕事を止めて、他で就職して国に居ついたりしないように、日本人の感覚では勿論、外国人労働者の扱いに慣れた欧米人の想像を絶するような厳しい管理を行っていました。

 しかし中東諸国は産油国以外は、殆どが貧困に苦しみ、更にシリアやレバノンのように長期間内戦状態で難民の流出が続いているような状況ですから、産油国で働きたい人は幾らでも湧いてくるのです。
 しかもアラブ諸国は皆、アラビア語なので使い勝手は凄く良いのです。

 更にフィリピンやインドなど、人口過剰で失業者の多かった国々からもこぞって中東産油国へ出稼ぎに行っていました。
 韓国人も随分行っていました。
 金賢姫の大韓航空機爆破事件であの大韓航空機に搭乗していた人々は、建設労働者として中東に出稼ぎに行っていた韓国人なのです。

 日本人は外国人労働者の流入に非常にナーバスなのですが(実はワタシも非常にイヤです)、しかし中東の人々には全然そういう抵抗感がなかったのか、第二次大戦後独立し石油収入が入りだした直後から、ドンドン外国人労働者を入れています。

 一方、出稼ぎに行く方も、これまた外国への出稼ぎに、殆ど抵抗がないらしく、これまたドンドンと行くのです。 
 これは考えてみれば当然ですが、産油国の代表格サウジ・アラビアにはメッカがあり、古来イスラム教徒は生涯に一度はここに巡礼したいと願っていました。

 だからサウジアラビアやその周辺産油国に行くことに、抵抗感があるはずもないのです。
 一方サウジアラビアや周辺国もこうした巡礼を昔から受け入れて来たのですから、外国人への抵抗感もないのでしょう。

 しかしそれだけではなくこれらの国々には、古代から奴隷制度が存在し続けて、労働者が必要なら奴隷を買うと言う文化だったからでしょう。
 ワタシは以前「イスラーム史の中の奴隷」と言う本を読んだ事があります。 これは中世アラビアの知識人が書いた「奴隷購入の書」を元に、アラブ世界での奴隷を描いています

 それにしてもこのネタ本である「奴隷購入の書」って、現代式に言うと車やパソコンなどの商品購入の為の手引書みたい本なのです。
 車やパソコンなどの購入手引書には、車種やメーカー別にその長所・短所、値段などが書かれているでしょう?
 
 で「奴隷購入の書」も完全にその感覚で、当時のイスラム世界の商業圏全域から得られる奴隷を、人種や民族別に奴隷の特性や使用法が解説されているのです。
 この当時のイスラム世界の商業圏は非常に広く、アメリカ大陸とオセアニアを除く全世界をほぼ網羅していました。
 
 それでフランク人と呼ばれるヨーロッパ白人、中央アジアの遊牧民、サハラ以南の黒人、インド人、中国人、そしてイラン人やアラビア人など、同じイスラム教徒で同一民族の奴隷までいるので、実に多種多様な人種・民族の奴隷がいました。

 「奴隷購入の書」では、これらの奴隷を民族・人種といった属性で分類して、属性ごとに用途や特徴を解説し、使用する場合の取り扱いの注意を書いています。

 例えば「イラン人は高度は技術を持ち優秀だけれど、惨めな待遇に耐えられないから注意しするように」「黒人は厳しい労働にも耐えるが、女性でも体臭がキツイいので、性的な使用には向かない」とか、今なら大問題になるようなことが延々と書かれています。

 奴隷の仕事も多岐にわたり、農作業や鉱山労働など我々現代人が「奴隷労働」から連想する単純肉体労働から、職人仕事などの技能労働、医師や秘書や経営管理などの現代なら高学歴エリートと言われる人々の仕事も奴隷にやらせています。
 
 しかしよくもまあ、ここまで徹底的に人間を「物」扱いできるものかと呆れますが、しかしこの書は当時、結構重宝されたようです。

 因みに中東諸国は軍隊まで奴隷で済ませていました。
 中央アジアの遊牧民は騎兵としては抜群に強いので、こういう遊牧民の奴隷を買い込んで国防に利用していました。
 
 で、でも他の用途はともかく、奴隷に武器を持たせるってどうなの? 
 そんなことをしたら直ぐに反乱されて自分達が奴隷にされるのでは?

 実際、反乱は再々起きて、奴隷による御家乗っ取りも実際にありました。
 例えばエジプトにマムルーク朝と言うのがあったのですが、このマムルークと言うのは、実は黒人以外の奴隷を指します。 
 遊牧民出身の騎兵奴隷が、エジプトの王家を乗っ取ってエジプトの支配者になったのです。

 しかしこんなことが再々起きても、アラブ人は自分では戦わず、軍隊に奴隷を使うか、或いは遊牧民の傭兵を雇うかで済ませていました。
 現在もサウジアラビアの軍隊は外国人傭兵で成り立っています。

 こういう文化と歴史を持つ国々ですから、奴隷制度は1970年代ぐらいまで残ったし、外国人労働者の受け入れにも何の抵抗もなく、更に受け入れ当初から外国人労働者を奴隷並に厳しく管理しています。
 つまりこれはカタールなど中東諸国の文化と伝統なのです。

 これは勿論、現代の欧米人の人権感覚からすれば絶対に許せませんから、欧米の自称人権団体が騒ぐのは当然でしょう。

 尤も欧米も第二次大戦まではアジア・アフリカ諸国の植民地支配をしていたし、黒人奴隷狩りはやったし、LGBTは迫害したし、色々問題があったのは確かです。

 それを悪い事だと反省して止めたのは立派だとは思いますが、しかしだからと言ってすぐに他に国に「オレが止めたんだから、オマイラも止めろ!!」とふんぞり返ってお説教するのはいかがなものでしょうか?
 この点はワタシもFIFA会長に同意します。

 しかしそれじゃFIFAの会長は、中東諸国が古代から延々と続けてきた奴隷制度や奴隷狩りはどう思うんですか?

 例えば欧州諸国が黒人奴隷狩りを始めたのは、17世紀からで19世紀には非人道的行為だとして止めたのです。
 でもカタールなどイスラム圏では、少なくとも欧州より1000年前から黒人奴隷狩りを始めました。 イスラム圏が黒人奴隷狩りを止めたのは、アフリカ諸国や中東諸国自体が欧州に植民地化されてからです。

 しかしコーランでもイスラム法でも奴隷制度は禁じていないので、ISがイラク周辺を支配していた時は、支配地の女性達を奴隷として売買していました。 
 
 欧州との違いは、イスラム圏の奴隷狩りには人種差別はなく、イスラム教徒は黒人奴隷狩りだけでなく、白人や東洋人の奴隷狩りもやっていたことです。
 だから「奴隷購入の書」にも多種多様な人種・民族の奴隷の用途が書かれているのです。

 しかしこれでは欧州が謝罪するような話ではないでしょう?
 因みにFIFAの会長は「世界中で3000年にわたりやってきたことについて今後3000年謝り続けるべき」っていうけど、そもそも欧州が欧州以外の国々に何か加害するとか、影響力を持つようになったのって、近々400~500年の話です。
 
 それ以前の欧州って世界的にもむしろ貧しい後進地域で、特に世界に貢献したわけじゃないけれど、害をなす程の力はありませんでした
 それで一体何を反省しろというのでしょうね?

 現在の欧米人にはFIFA会長のような自虐史観丸出しで、自国民に謝罪や反省を促す人間がぞろぞろ出てきました。
 しかし現実の歴史を見ると、ワタシはこういう人間こそ鼻もちならない偽善者だと思ういますけど。

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2022-02-09 15:52

ウクライナはロシアのまほろば プーチンの危機感

 プーチンはなぜウクライナに執着するのか? 
 なぜならウクライナはロシアの「まほろば」だからです。

 勿論、ロシアにとってはウクライナは軍事的に経済的に重要な国ですが、しかしそれだけならクリミアやグルジアなど他の旧ソ連邦諸国も同様です。
 けれどもウクライナはロシアにとって軍事て経済では済まない意味を持つ国なのです。

 ロシアにとってウクライナは、日本にとっての大和地方と同様の意味があるのです。
 日本の歴史が大和朝廷から始まるのと同様、ロシアの歴史はキエフ大公国から始まるのです。

 キエフ大公国は9世紀半ばからキエフを首都して現在のベラルーシとウクライナを支配するようになりました。
 そして988年キエフ大公国のウラジミール一世がキリスト教(正教)に改宗し、キエフ大公国がキリスト教化し、ロシアの歴史時代が始まるのです。

 これは正に日本の歴史が大和朝廷から始まり、大和朝廷が仏教を受け入れた頃から、日本が歴史時代に入るのと同じです。
 そして日本の神話や大和朝廷の黎明時代を描く古事記や日本書記が大和で生まれたのと同様、ロシアの神話や英雄伝説もウクライナで生まれたのです。

 キエフ大公国は英雄を産みながら次第に東に広がり、やがて現在のロシアのモスクワ周辺にまで拡大しました。
 
 しかしキエフ大公国は1240年、モンゴルの侵攻を受けて崩壊してしまいました。 その後現在のロシアとその周辺は以後400年間モンゴルの支配下には置かれました。
 一方ウクライナは国家の体をなさなくなってしまいます。

 このような状況でロシアやポーランドやスウェーデンなど周辺諸国から、無法者、逃亡した農奴などがウクライナに流れ込んで、武装集団を作り、周辺諸国を略奪して回ったりするようになりました。
 これがコサックです。

 一方ロシアはモンゴルの支配を脱してからは、強力な中央集権体制を作り、国力を強化していきました。
 そして17世紀、今度はロシアがウクライナを支配下に置くようになったのです。
 以降ソ連崩壊、ウクライナ独立まで、ウクライナはロシアと一体でした。

 そして歴史的経緯を見れば、ロシア人にとってはウクライナは正に父祖の地、ロシアのまほろばなのです。 
 ロシア人は「イゴリー公戦記」始めキエフ大公国の英雄達を自分達の先祖の英雄としてあがめていました。
 この英雄達やキエフ大公国の名君達の名前は、ロシア人の個人名として受け継がれたし、戦艦や潜水艦にも命名されています。

 またこうした歴史だけでなく、コサックダンスや美しい刺繍の民族衣など現在世界中の多くの人がロシアの民族文化と思っているモノの多くが実はウクライナの文化です。
 
 近世以降、ロシアの支配階級は完全に西欧化して、ロシアの民族文化とは無縁になってしまいました。 一方農民は農奴であまりに貧しく、華やかな民族文化を育てる事はできませんでした。
 
 例外がコサックです。 
 ウクライナがロシアの支配下に入ってから、コサックは軍務と引き換えに数々の特権を得ていたので、貴族ではないにせよ農奴よりは遥かに豊かな生活を維持できました。
 そこでコサック達はコサックダンスや美しい民族衣装、豊かな民話など数々の民族文化をはぐくむ事ができたのです。

 そしてコサック騎兵の精強さと共に世界中にロシア=コサックのイメージが生まれ、コサックの文化がロシアを代表するようになりました。

 ウクライナがロシア領であればそれで無問題でした。
 しかしウクライナがロシアから独立し、更には西側に所属するようになれば、ロシアは民族舞踏や音楽、民族衣装と言ったフォークロアさへも喪う羽目になります。 

 だからソ連崩壊でウクライナがソ連から独立した事は、ロシア人にとっては大変なショックでした。
 これは共産主義には関係がありません。
 例えばソルジェニーツィンなども大変なショックだったようです。 

 ソルジェニーツィンと言う人は、ロシアの熱烈な愛国者でした。 
 この人は血筋から言うと完全にウクライナ人です。 母親はウクライナ人で父親はクバンコサックです。 前記のようにコサックはウクライナ起原ですから。
 その父親はしかし第一次大戦でロシア軍に志願して、ソルジェニーツィンが生まれる前に戦死しました。
 
 ロシアにはソルジェニーツィンと同様の血筋の「愛国者」は少なくないでしょう。
 そしてこうした人々を見ていると、国家と言うのは元来極めて人為的に作られたモノで、それに翻弄されることの理不尽さを痛感せずにはいられません。

 一方、ウクライナ人からすれば、ロシア人がどう思おうとも、二度とロシアの支配は受けたくないだろうし、受ける理由もありません。
 
 だってロシアの支配を受けてから何一つ良い事がないのですから。 特に第一次大戦、ロシア革命時、第二次大戦の頃のウクライナはあまりと言えば余りに悲惨で、この時代を紹介する動画など見ていると気持ちが暗くなるほどです。

 ロシアの西側と言う地理的位置から、二度の大戦で戦場になり、大きな犠牲が出たのは仕方がありません。 これは大陸国家の運命です。 ウクライナ人だってそれを恨んでいるわけではありません。
 しかしスターリン時代にソ連共産党が意図的に飢餓を起こして、ウクライナ人の大半が餓死した事件などどう理解したらよいのでしょうか?

 これではウクライナ人がロシアに愛想をつかすのは当然でしょう?
 
 それ以前にウクライナにはロシアの支配を受ける根拠がありません。
 ウクライナ人とロシア人が同じ民族かどうかと言うのは、議論があるのですが、例え同じ民族だったとしても、ロシア革命で民族国家としてのロシアは消滅したのです。

 ロシア帝国を破壊して成立したソ連は、民族国家であることを否定しました。 ロシア皇帝一家を銃殺して遺体に硫酸をかけて廃坑に捨て、ロシア正教始めロシア民族統一のよりどころを完璧に破壊しました。
 KGB出身のプーチンのロシアは、ウクライナ人からみれば、ソ連の後継国家です。
 
 そういう国家が再度ウクライナへ野心を見せると言うのは、ウクライナ人からすればスターリン時代の悪夢がよみがえるとしか言えません。
 
 ウクライナ人からすれば、NATOに加盟し、二度とロシアの支配を受けないようにしたいでしょう。

 しかしこれはロシアにとっては大変な危機です。
 ウクライナがNATOに加盟してロシアと敵対するとなったら、ロシア人は何を自分達の民族のよりどころにすればよいのでしょうか?

 ロシア民族のまほろば、民族揺籃の地であるウクライナからすてられたら、ロシアにはもう民族のよりどころが亡くなってしまいます。
 
 ソ連時代は共産主義で国家をまとめました。
 帝政ロシアの時代は、皇帝の権威が国家をまとめました。

 現在のロシアが国家をまとめるのは、民族主義ぐらいしかありません。 
 皇帝とかキリスト教とか、それまでロシアをまとめてきた伝統は、共産党によって完全に破壊されました。
 
 だったら民主主義になれば?
 
 でも民主主義と言うのは、全ての物事を話し合いと多数決で決める制度です。 これが上手くいくのは、話し合いに参加する人々が、お互いに信頼関係があり仲間意識を持つ場合だけです。
 信頼関係も仲間意識もない人同士で話し合いをしても、もめるばかりです。

 その信頼関係や仲間意識を産むのに非常に強力で重要なのが民族意識です。 
 今後ロシアが民主化するにしても、現状はロシア民族の民族意識を守るしかないのです。

 ところがウクライナの独立、そしてNATO加盟はそのロシア民族のアイデンティそのものをぶち壊しかねないのです。 
 だからプーチンの危機感も半端ないのでしょう。

 でもそのプーチンがウクライナをNATOに追いやっているのだからどうしようもありません。
 
 今後、ウクライナ問題がどなるのかワタシには全くわかりません。
 でもウクライナとロシアの歴史を見ていると、民族の伝統は絶対に壊しちゃいけないと思います。
 民族の伝統を作るのには何百年もかかるので、一度壊すと元通りになるのにまた何百年もかかってしまうのです。
 そうなるとそのあいだに民族とか国家そのものが亡くなってしまう事もあるのですから。

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2019-02-07 13:42

タチャンカ 馬の時代の終わりと中国の台頭

 このところずうっとブログの更新が止まっていましが、実は体調を崩していたのです。
 それでぼんやりとyou tubeばかり見ていたのですが、するとこんな動画を見つけました。


 凄い迫力です。

 この動画の中の歌「タチャンカ」は、ソ連の軍歌で、タチャンカとはこの動画の中の後部に機関銃を据えた馬車の事です。

 ウィキによれば第一次大戦中にロシアで発明されて、ロシア騎兵隊に普及したと言います。

 それにしても馬車に機関銃と言うのは、馬の時代の最後を象徴する兵器ではありませんか?

 馬は古代から重要な兵器でした。

 馬の兵器としての価値は、近世以降は大砲や鉄砲の発達、そして鉄道の発明などで、徐々に下がり続けました。
 それでも人間が戦争と言う物を始めてから、数千年間、馬のスピードと輸送力を凌ぐ兵器は、顕われませんでした。

 だから騎兵はどの国でも重要な兵科でした。
 それで明治維新を迎えた日本も、ヨーロッパに倣って近代的な騎兵隊の設立し、それが実際に日清、日露戦争でも活躍しました。 

 しかし第一次世界大戦になって、戦車、飛行機、そして自動車など、馬が持っていた機能を上回る兵器や動力が出現して、遂に馬の時代が終わるのです。

 そして馬の時代の終焉が中国の台頭を招いたのです。



 古来、海洋と陸上の双方の覇権を握る国家はないと言われました。
 なぜなら陸上の覇権を握る国は、強大な陸軍を抱える必要があるのですが、それはつまり近隣に自国を脅かす敵がいるからです。

 例えば近代ヨーロッパの陸軍国、フランス・ドイツ・ロシアは、それぞれ強大な陸軍を持っていましたが、海軍国にはなれませんでした。 
 なぜならフランスとロシアは常に隣国ドイツの防衛を第一考えるしかなく、ドイツは気の毒にもフランスとロシアの二国からの防衛に追われました。

 これでは海洋に出る余裕はないのです。
 だから海洋はイギリスの独壇場になるのですが、しかしそのイギリスはこれらの強大な陸軍国に対抗して大陸に勢力を伸ばすような事はできなかったのです。

 第二次大戦後のアメリカが、海洋と陸上での覇権を唱える事ができるようなったのは、アメリカ大陸にはアメリカを脅かすような勢力が存在しないからです。

 一方中国の周辺にはこうした強大な陸軍国はありませんでした。
 しかしそれに代わって中国を脅かし続けたのが騎馬民族です。

 騎馬民族は人口では漢民族とは比べ物にならないほど少ないのですが、しかし民族全部が騎兵として活動できるのだから、少数でも軍事力は強大なのです。

 だから中国史は騎馬民族との闘いの歴史で、しかも繰り返しその支配下に入っているのです。

 中国が騎馬民族から国家を守るには、万里の長城のような防壁を作るか?或いは周辺地域を併呑して支配下に置くか、どちらかしかないのです。

 これでは海洋進出なんかできるわけもないのです。

 ところが馬の時代の終焉で、騎馬民族の時代も終わりました。
 
 一定の人口と経済力があれば、戦車や飛行機を手に入れ、それで騎馬軍団を簡単に制圧できるようになったのです。

 そうなると騎馬民族は唯の少数民族として、一方的に弾圧されるだけの存在になったのです。

 だから現在の中国は歴史上初めて、周辺騎馬民族を恐れず、海洋に進出できる状態になったのです。
 
 現在の中国を陸上勢力として抑止できそうな唯一の存在がロシアです。
 その意味ではロシアが弱体化するのは、日本にとってもアメリカにとっても、必ずしも好ましい事ではないのです。

 ロシアがヨーロッパなど他で悪さをしないなら、少しは支援しても良いのでは?
 
 と言うのが安倍総理やトランプ大統領の本音でしょう?



 それにしてもこの動画、ホントにすごい迫力でしょう?

 この動画の元の画像は1955年ぐらいに作られたソ連の映画か何かようです。 だからCGなどの技術は全くなく、本物の馬と人間でこの映像を撮っているのです。
 
 実はワタシは騎馬戦や騎兵突撃の動画が大好きでよく見るのだけれど、ここまで凄いのは初めて見ました。
 何が凄いって、この動画では馬が馬車もろとも倒れる場面続出なのです。

 騎兵突撃の動画についてyou tubeのコメント欄で「機関銃で撃たれて人間がバタバタ倒れるのに、馬が倒れないから不自然」と言うのがありました。

 そうなんですよね。
 でも馬って下手に倒れるとすぐ足を骨折して、そのまま治療不可能、安楽死と言う事になるのです。
 だから映画の撮影で馬が倒れるシーンを撮るのは大変なのです。

 ところがこの動画では馬が馬車もろとも倒れる!!
 
 この撮影でどれだけ馬を殺したんだろう?
 
 尤もこの時代のソ連は自国民を平気で殺していたから、馬が死ぬ事なんかに構うわけもないのでしょう。

 そして思うにこの時代は、それでもまだ騎兵の末裔が相当数存在したので、現代人の常識超えるような超高度な乗馬技術を持った人間を集めるのも簡単だったのでしょう。



 帝政ロシアのコサック騎兵は、ヨーロッパ最強を誇りました。
 コサックは元来ウクライナの自作農だったのですが、彼等は騎兵として軍務に就く事と引き換えに、様々な特権を得て、一般のロシア農民とは比べ物にならない程豊な生活を保障されていました。

 コサックが優秀な騎兵なのは、幼少時から乗馬に親しみ、高度な乗馬技術を持つからです。
 
 でも幼少期から乗馬に親しむ為には、農耕馬ではなく乗用馬を持てる家庭でなくてはなりません。 しかしそういう馬を持つには、相応の経済力が必要です。
 だからロシア皇帝は、コサックには乗用馬を持てる生活を保障していたのです。

 その豊かさを背景に、コサックダンス始め豊なフォークロアを育みロシア文化を代表するようになったのです。

 こうしたコサックを共産主義者が憎み、その後コサックのみならずコサックの土地であるウクライナ全土への熾烈な迫害を行ったのは当然でしょう?

 それでも1950年代にはまだ、この動画のような凄いスタントができる程のコサックの末裔たちが残っていたのでしょうね。

 貴重な動画だと思います。
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2017-12-24 13:05

EUの「多様性の尊重」と「寛容」

 先日日本で二人の死刑囚の死刑が執行されたことに対して、EU駐日代表部が抗議の声明を発表しました。

 またフランスとドイツの駐日大使館も日本を非難しています。

 あれれ?
 EUもドイツもフランスも「多様な価値観」や「寛容」を尊重するんじゃなかったんですか?

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 ええ、EU諸国が死刑を廃止した事は知っています。
 それがEUの価値観で、EU諸国民の意思なら日本人はそれを尊重します。

 だから「EU諸国は死刑を復活しろ!!」なんて言う気は全くありません。

 しかし日本人の圧倒的多数は死刑制度を支持しています。
 だから日本国内での死刑制度を廃止する気は全くありません。

 そもそも凶悪犯にどのような刑事罰を科すかなどと言うのは、それぞれの国の文化や歴史、また現実の社会状況に深くかかわる問題です。
 そして純然たる内政問題です。

 だから他国の文化や伝統、他国の主権を尊重すれば、他国の刑事罰に関して安易に非難とか抗議をするべきではありません。

041
 
 ところがそれをやってしまうのがヨーロッパ人の哀しいところです。

 連中は自分の正義は絶対正義、だから自分が正しいと思ってやることは人に押し付けずにはいられないのです。

 それで昔は宗教戦争なんて物をやりました。

 カソリック教会の権威を認めるか?
 認めないか?

 しかしこんな完全に内面の問題を、他人がどうこう言っても判断不能ですから、一度揉めはじめると切りがないのです。

 それでも連中はトコトンこれに拘ってもめ続けて、挙句に人口が減るほどの殺し合いになりました。
 
 で散々殺し合った結果、連中がたどりついたのが「宗教の自由」です。

 つまり宗教みたいな内面の問題で揉めるのは止めよう。
 そんなことで揉めたら最後の一人まで殺し合う事になるから。

 そしてこのトコトンお節介精神への戒めとしてたどり着いたのが「個人主義」です。

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 しかし哀しいかなこうして血みどろの宗教戦争の結果「宗教の自由」や「個人主義」にたどり着いても、トコトンお節介精神そのモノは治らないのです。

 ヨーロッパが近代化して強力な軍事力を持つようになると、今度はホワイトオブリージなどと言う物を発明してしまいましました。

 つまり「我々白人は近代化した優れた人間だから、その義務として遅れた有色人種を教育してやらねばらない。」と言うのです。

 ええ、近代以降ヨーロッパ諸国が優れた社会制度や科学技術を作り上げて人類を進歩させたことは事実だと思いますよ。

 でもさ、頼まれてもいないのに他人にそれを押し付けるって、マジにお節介そのモノじゃないですか?
 そして独善と差別意識そのモノじゃないですか?

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 そこで連中も植民地を喪ってからは、それを反省し始めたのです。

 すると今度は差別を絶対悪として「多様な価値観の尊重」とか「寛容」とかを一枚看板にするようになりました。

 ところが哀しいかな、それでも連中のトコトンお節介精神そのモノは治らないのです。

 だから何かあると直ぐにそのトコトンお節介精神を発揮します。

 日本に対する死刑反対声明など典型でしょう?

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 君達は死刑制度は犯罪の抑止にならないと言うけどさ、日本は殺人始め全ての犯罪について君達の国より一桁少ないんだよね。

 日本の治安が良い事は、君達の国から日本に来た人達、観光客から仕事で長期滞在する人達皆認めているでしょう?

 そういう明明白白な事実を無視して、上から目線で「死刑を廃止しろ!!」と言うのって、人種差別じゃない?

 合理的で現実的な発想をするのなら、日本の治安の良さを見て、日本の制度に学ぶべきじゃない?

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 日本だけじゃないよ、日本以外で死刑制度を続けている国には皆それぞれの事情があるんだよ。

 例えば治安が崩壊寸前だったり、貧しくて刑務所を管理する予算も出せないような国だってあるんだよ。

 君達そういう国にまで「死刑を止めろ!」って言ってるよね?

 死刑制度の廃止なんて現実にできそうもない国にまで、そんなことを言うって、唯の苛めじゃないの?

 そういう苛めって人道的なの?

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 しかも世界一の死刑大国、商売の都合で中国には何にも言えないって何?
 
 そういうさもしい人道主義に共感する人間は、日弁連みたいな君達と同類のさもしい偽善者だけだよ。

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 で、こんな連中が「多様な価値観の尊重」とか「寛容」を振り回すのだから、今度は自分達が勝手に決めた「多様な価値観の尊重」や「寛容」を無理矢理他所に押し付けると言う事にしかなりません。

 つまり自分達が「難民」を抱え込むと決めたので、「オマイラも抱え込め!」と強制する、自分達が同性婚を認めたら「オマイラも認めろ!」と強制するのです。

059

 いやさ、ポーランドとかハンガリーはオマイラと違って植民地なんか持っていた事もないし、他所の国に自国文化を押し付けた事もないんだよ。
 
 それどころかイスラム教徒のオスマントルコに圧迫された歴史のトラウマがあるんだよ。

 しかも経済はとても厳しくて、失業率も貧困率も凄く高いんだよ。

 そういう国にイスラム「難民」を受け入れろって、そりゃイジメだよ。

062

 ところがコイツラ、ホントに容赦ないんだよね。

 でもこんなに容赦なく東欧諸国を苛めるのは、勝手に難民歓迎をやった国々の政権が、自国内で「何でオレタチだけ難民の面倒を見なきゃならないんだよ!! 拒否している国もあるんだから、オレタチも拒否すれば良かろう。」と言う声を封殺したいからなんだよね。

 これって身勝手も良い所だよね?

068

 オマイラは近代以降も同性愛に刑事罰を科して、同性愛者を迫害していたけどね、日本はそんなことした事はないんだよ。

 だから同性愛者は昔から、養子縁組をして添い遂げる事もできたし、仲間同士で好き放題乱交しても誰も文句を言わないんだよ。

 それなのに何で今更同性婚なんか認めなくちゃならないの?

 オマイラ、自分達が同性愛者を迫害していたから、日本も迫害していたって勝手に思ってない?

 あのねえ、アジアにもアフリカにも、オマイラみたいに同性愛者を苛めた国はないから。

 だからオマイラ以外の国は、今更同性愛者の権利が~~!!なんて騒ぐ必要はないんだよ。

070

 他国にあれこれ言う前に、まず他国の文化を理解する努力しろよ!!

 多様な価値観の尊重とか言うなら、まず自分達と違う国の違い価値観を勉強するべきじゃない?

 その勉強がイヤならしなくても良いよ。

 でもその場合は、自分は無知で他国の事は理解できないと考えて、余計な事は言わない方が良いよ。

072

 ところが余計な事を言わずにいられないのがヨーロッパ人なんですよね。

 なんだかなあ・・・・つくづく厄介な性格だと思います。

 勿論これが悪い事ばっかりだったわけではありません。

 このトコトンお節介は独善と狭量の結果ではあるけれど、それは逆に言えば大変生真面目で正義感が強いと言う事もあるのですから。

 だからヨーロッパは大変腐敗や汚職の非常に少ない、大変効率的な政治制度を確立し、豊な国になったのです。

 高福祉社会なんて中国みたいに隙あれば脱税し、不正に福祉を食い潰そうとするような国民性では、制度の運営は不能でしょう?

 自然科学の論文だって、中国では捏造やデータ改竄が普通になってしまっていると言います。 これでは安心して他人の論文を引用できないので、研究成果を積み上げて、科学を進歩させる事はできないのです。

 そういう意味でヨーロッパ人のトコトンお節介精神は、プラス面だって沢山あったのです。

074

 でもね、あんまり他人にお節介ばっかりしていると、結局自分が自滅する事になるんじゃないですか?

 宗教戦争の時みたいにね。
 ナチス党支配下のドイツみたいにね。

 実際今ヨーロッパ諸国がやっているネットの書き込み規制なんか完全にファシズムの言論統制そのモノでしょう?
 
 あれを見ていると、ヒトラーやムッソリーニの台頭した頃は、ああやって言論統制が強まって、ああやってファシズムに突入したのだとしか思えません。

 しかし笑えるのは、このファシズムそのモノの言論統制を今のヨーロッパ諸国は、「多様な価値観の尊重」と「寛容」の名目でやっている事です。

 こうなるとホントに救いがないですね。

077

 悪い事は言わないから、君達、ホントにもう一度、多様な価値観を尊重するとか、寛容の意味を考え直したら?

 寛容と多様な価値観を尊重すると言いながら、自分達の気に入らない言論は取り締まるって、ブラックジョークだよ。

 でもブラックジョークが現実になると、ジョークではなく悲劇にしかならないんだよ。

 わかってる?
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2017-12-22 13:19

イスラム移民と恐怖のクリスマス

 先日も触れたけれど、ヨーロッパではイスラム教徒に配慮して、クリスマスを祝えないようになってきました。

イタリア;イスラム教徒に配慮して、公会堂のクリスマスツリーが撤去される

(2016年当時、イタリア国内には160万人のイスラム教徒が確認されており、全イタリア人口の3%に匹敵するという。)

イタリア紙”il Giornale”によると、トレンティーノ=アルト・アディジェ州北部の都市ボルツァーノの公会堂(town hall)に設置されていたクリスマス・ツリーが、イスラム教徒などへの配慮として撤去されていたことが分かった。

撤去されたクリスマス・ツリーは、毎年、同公会堂にてイベントを主催している”退役軍人連盟”が主体となって、寄贈しているものであり、通常は、クリスマス期間が過ぎるまで設置され続けているものであったという。

しかし今年は、同じ場所で”ムスリム団体による会合”が予定されていることなどから、同公会堂のスタッフが、”イスラム教徒の心情を考慮して”クリスマス・ツリーの撤去を”退役軍人連盟”に依頼してきたという。

030

 イタリアにイスラム教徒が激増したのは、2015年の9月、シリア難民の幼児遺体を使っての難民カワイソウキャンペーンがはじまってからです。

 以降イタリアには膨大なイスラム「難民」が流入しています。

 そして難民流入のバルカンルートが閉ざされてからは、北アフリカから地中海を渡りイタリアに渡航する「難民」が激増しました。

 リーマンショック以降失業率が高止まりしたままで、経済的に苦しい中で、それでもイタリア政府はこうした「難民」を救出してイタリアに受け入れています。

 「難民」達はイタリア海軍が救出してくれる事を前提に、無謀な渡航を行っているのです。

 その結果が公会堂のクリスマスツリーの撤去です。

034

 ”イスラム教徒の心情を考慮して”

 ??
 このツリーは退役軍人会からの寄付でしょう?

 善意で寄付したツリーを撤去されたら退役軍人会の人達はどう思うでしょうか?

 またこのツリーを楽しみにしていた市民達はどう思うでしょうか?

 イスラム教徒には配慮しなければならないけれど、退役軍人会やキリスト教徒である一般市民の心情は配慮しなくて良いのでしょうか?
 
 本来であればイスラム教徒達は、自分達の同朋を暖かく受け入れてくれたイタリア政府とイタリア人に感謝して、自分達が寄付を集めてクリスマスツリーを寄付するぐらいの事をするべきではないでしょうか?

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 しかしどうやらそう言うレベルの話ではないようです。

 ツィッターでこんな記事を拾いました。(ワタシの英語力で読んだので誤読があるかもしれませんが)

 Amir Khan and wife Faryal Makhdoom receive death threats for putting up a Christmas tree

 イスラム教徒がクリスマスツリーを飾り、それをインスタグラムに載せたところ、彼の120万人のフォロワーは賛同のコメントを寄越しました。
 
 しかし「一家を皆殺しにする」などと言う脅迫のコメントが1000程在ったと言うのです。 

 彼には妻と三歳になる子供がいますから、これは大変な恐怖でしょう。

 欧州の自治体の一種異様な程のイスラム教徒への気遣いは、結局こうしたイスラム教徒への恐怖からでしょう。

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 これは実は在日特権とよく似た構図です。

 日本の自治体も一種異様な在日特権を幾つも認めているのですが、しかしこれは結局、総連や民潭など在日コリアンと揉めたら、担当の職員達が大変恐ろしい思いをするからです。

 どんな自治体でも各部署の担当の職員は数名しかいません。 そこに数十人単位で在日コリアンが押し寄せて脅迫すると、それだけで恐怖です。

 しかも公益を守る為に毅然として対応すると、今度はマスコミが「差別だ」と書き立てて騒ぐ。

 こういう構造があるから、在日特権が作られてきたのです。

044

 マスコミが常に在日コリアン側に着くのは、マスコミに左翼活度家が多いと言う事もありますが、しかし実はマスコミ側も怖いのです。

 怖いから何も報道しない。
 だから国民は知らない。

 こういう事が解ってきたのは、ネットでこうした事情を発信する人が出てきたり、在特会が自治体と交渉する動画を配信したりする事で少しずつ一般国民にも認知されるようになったのです。

 しかしイスラム教徒による脅迫は、在日コリアンより怖ろしいでしょう。

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 以前、アヤーン・ヒルシ・アリについてエントリーした事があります。

 彼女はソマリア人の女性で、難民としてオランダに入国し、オランダ国籍を取得後、オランダの国会議員なった女性です。

 彼女は元々は敬虔なイスラム教徒として育てられたのですが、しかしイスラム教の女性抑圧や、狂信や不寛容に疑念を持ち、イスラム批判を始めました。

 するとイスラム教徒達から命を狙われるようになりました。

 マスコミや自称リベラリスト達が言うように、極一部の狂信的なイスラム教徒だけがこうした脅迫に加わるわけではありません。

 殆ど全てのイスラム教徒から脅迫されるのです。

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 この脅迫についてはアヤーン・ヒルシ・アリが自伝の中で描いているのですが、この部分は読んでいてもゾクゾクするの程の恐ろしさです。

 イスラム教徒による脅迫が始まってから、彼女には厳重な警護が着きました。

 しかしそれでも今まで住んでいた家に住む事はできず、住所を秘密にできる所を探して移転しました。
 それでもなぜか、いつの間にか住所が明かされるのか、怪しい人間が回りをうろつきだし、更なる移転をするしかなくなってしまいます。

 挙句に警察学校の寮に入るように言われるのですが、暫くすると「警官の中にイスラム教徒がいるから」とまた移転です。

 そして空軍基地の兵舎で暮らす嵌めになります。 空軍基地なら軍が警備しているので、安全だと思われたからです。

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 また脅迫が始まってから数日後、彼女がホテルで知人と食事をしていると、警護の警察官が直ぐにホテルを出るように言いました。

 ホテルの玄関に中東・北アフリカ系の顔立ちの男達が無数に集まっていると言うのです。

 これは当にネット社会ならの恐怖でしょうが、イスラム教徒の一人が彼女がホテルに入る所を見て、その情報をスマホで拡散すると、そこら中から彼女を袋叩きにしようと言うイスラム教徒達が集まってくるのです。

 少数の暗殺者に着け狙われるのではないのです。 大多数のイスラム教徒が暗殺者に協力し、また自身も暴行に加わろうとしているのです。

 これではもうマトモな生活は不可能です。

 実際オランダ政府も警察も狭いオランダの中で、彼女を隠して保護し続ける事は不可能と判断せざるを得ませんでした。

 それで彼女はアメリカへ行くのですが、そのまま今も行方を明かしていません。

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 彼女は独身で、その前から家族とは絶縁状態になっていました。 
 
 彼女の父親はアメリカに留学し、ソマリアをアメリカのような国にしたいとして活動していた、ソマリア民主化の闘志だったのですが、しかしその父も彼女がイスラムを批判した事で、彼女と義絶したのです。

 しかし義絶前から父親の所にも脅迫状が多数着ていて「娘を何とかしなければお前を殺す」と言われていたのです。

 だからもし父親が彼女を庇えば、父親もまたその他近親者全部の命が危うくなったでしょう。

 このような恐怖がある限り、イスラム教徒の中からイスラム批判などできるわけもないのです。

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 実際アヤーン・ヒルシ・アリとイスラムに関する討論等で知り合ったイスラム教徒達の中には、アヤーンに共鳴する人達は相当いたのです。

 しかし彼等は皆一様に公的な場では、沈黙するのです。
 
 それはそうでしょう。
 アヤーンが公的な場でイスラム教を批判できたのは、彼女が卓抜した勇気を持っていたからでもありますが、しかしもう一つは彼女が独身で、家族との関係も悪化していたからです。

 妻子のいるような人には、こんな事は不可能です。

 こうなるとイスラム社会の内部から、こうした狂信と暴力を改革しようとすることは一切不可能になります。

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 そしてもう一つ重要な事ですが、イスラム諸国の殆どが今も部族社会で近代的な国民国家とは程遠いと言う事です。

 これもアヤーン・ヒルシ・アリが自伝で描いていますが、ソマリアの部族社会と言うのも大変な物です。
 
 簡単に言えば何代前でも共通する先祖がいると解れば、初対面の人間同志でも緊密な相互扶助を行う権利と義務があります。

 しかしそれ以外の人間には一切の関心を持たないのです。

 こういう社会で育った人達にしてみれば、全く異民族・異教徒を「難民」として救済して、様々な福祉を与えてくれる社会と言うのは、そもそも理解の他なのでしょう。

 だからそういう国に入り込んで福祉を食い潰すと言うのは、言ってみればアメリカに移民した白人達が、インディアンから土地や食料を奪ったのと同じ感覚なのでしょう。

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 そしてこの感覚は実は在日コリアンも同様でしょう。

 彼等もまた血族社会の住民であって、血族内がウリ、それ以外はナムと言う世界に生きているのです。
 
 だから国民国家・民主主義国家での国民意識は全く理解できていません。

 理解する意思もありません。

 普通、国家や国際問題に無関心な人でも、海外で暮らようになると国家や国籍の意味を思い知る事になります。

 しかし在日コリアンの場合は何世代外国で暮らしても、自分達の都合不都合以外に国家には何の関心も持たないのです。

 人間はどんなに時間を掛けても、関心を持たない事は結局学べないのです。

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 在日コリアンは日本に暮らして数世代を経ており、殆ど韓国語も話せません。
 そして殆どは日本の学校へ通い、日本の社会制度について学んでいるはずです。

 しかしそれでも結局は、国民国家・民主主義国家としての日本と言う国を理解できてないのです。

 だから自分達の気に入らない事は何でも「差別」として不満しか持たないのです。
 
 そして彼等の祖国韓国も北朝鮮も同様に、本来の意味での民主主義国家にも国民国家にもなれないのです。

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 これを見るとソマリア始め中東や北アフリカからの移民、また韓国同様儒教社会の中国からの移民が、欧米で緊密なコミュニティーを作る理由も良くわかります。

 つまり彼等は移民先でも祖国同様の部族社会・血族社会を守っているだけなのです。

 そしてこうした社会で育つとどんな教育を受けても、民主主義国家のルールなんか受け付けないのです。

 こうなると部族内にあった狂信や暴力もそのまま温存され続けて当然ではありませんか?

 だからイタリアの小都市の公会堂は、一般市民や退役軍人会の心情など踏みにじってクリスマスツリーを撤去せざるを得ないのです。
  1. ヨーロッパ
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