10月3日 弁護士ドットコム
「泣く7歳、助けない大人 『何とかしないと』小5が保護」と題した朝日新聞デジタル(10月20日)の記事が、話題になりました。
迷子になった女の子を、小学5年生の男の子が警察に連れていってあげたーー。「男の子は立派だ」という良い話で終わるのではなく、記事が注目されているのは、この事例が単なる美談ではなかったからです。
男の子が勇気ある行動をとった理由は「通りかかる大人は何もしなかったので自分が何とかしないといけないと思った」からだったといいます。
泣く子どもの横を大人たちが素通りした理由はわかりませんが、意外にも「通りかかった大人の気持ちもわかる」との同意も目立ちます。
●「助けないのが賢明」
ネットには、このような意見がみられます。
「冤罪であっても、女児誘拐のレッテルを張られてしまえば、人生が終わる」 「警察を呼ばれて、揉めているところを動画に撮られて拡散されたら…」 「最近は大人の男性だけではなく、女性でも、子どもに声をかけると警察にいろいろ聞かれる」
もはや、泣いている子どもを見かけても、“ことなかれ主義”を貫くことが「常識」となっているのでしょうか。
元警察官僚で、子どもの虐待ゼロを目指しているNPO法人「シンクキッズ」の代表理事を務める後藤啓二弁護士に聞きました。
●子どもを見つけたとき、どうすればよいか
ーー大人たちはどうして尻込むのでしょうか
自分の利害ばかり考え、自分とは関係のないことや、面倒なことにはかかわりたくないと考える。そんな大人が増えたということだと思います。
児童虐待がこれほどひどくなった現在でも、大人の怒鳴り声や子どもの泣き声を聞いても、虐待の疑いありとして通報する人はごく一部です。
ここで優先されているのは、虐待から子どもを救うという考えではなく、面倒なことにかかわりあいになりたくないという意識だと思います。
迷子で泣いている子どもを見て、無視するのもこれと同じだと思います。
そのほか、考えられる理由としては、家族、勤務先など最小限の範囲でしか付き合いがなくなり、見知らぬ人とは、それが困っている子どもであっても、どう対応していいか分からないという人が増えているのかなという気がします。
ーーそのうえで、迷子を見つけたとき、大人はどうすればよいのでしょう
せめて110番するか、近くにお店があれば、そのお店の人に頼むぐらいのことはしてほしいですね。
ーー助けてしまうことを「リスク」と捉える人がいるようです
困っている子どもを助けることにリスクがあるという考え方は理解できません。そんなふうに考える人が少なからずいるとすれば、現在の日本社会が歪んでいるのでしょうね。
●後藤弁護士「誘拐犯と疑われるなんて、基本的に考えられません」
彼らが心配するのは、子どもの話を聞いて家に連れて帰ってあげている途中で、保護者、保護者から通報を受けた警察に会って、誘拐犯と疑われるということでしょうか。
ですが、基本的にそんなことは考えられません。事実をそのまま話せば、感謝されこそすれ、トラブルになることは通常はありません。
よほど常識のない保護者である場合には、トラブルになるかもしれませんが、そんなことがあるかもしれない、そんなことに巻き込まれるのはいやだと思って、困っている子どもを助けないことを正当化することなどできないと考えます。
それでも、どうしても心配だという人は、まず110番して、状況を説明して、今子どもを家まで送っているが、一緒に来てもらえないだろうかと伝えればいいと思います。
ーー行動に移す前に、通報するほうがよいのでは?
心配な人はそうしたらいいと思いますが、こんなことまで警察に頼らなければならないというのは、地域社会の在り方としてどうかと思いますね。
続く・・・・・。
この記事は弁護士ドットコムからヤフーニュースに転載されているのですが、現時点でコメントが9333個ついています。
ワタシはこのコメントを最初の6ページ分程読んでみたのですが、しかしこの全てが以下の後藤弁護士の意見に否定的でした。
●後藤弁護士「誘拐犯と疑われるなんて、基本的に考えられません」
彼らが心配するのは、子どもの話を聞いて家に連れて帰ってあげている途中で、保護者、保護者から通報を受けた警察に会って、誘拐犯と疑われるということでしょうか。
ですが、基本的にそんなことは考えられません。事実をそのまま話せば、感謝されこそすれ、トラブルになることは通常はありません。
しかもコメントの中には、自分自身が迷子の子供を助けようとして、誘拐犯や性犯罪者扱いされて非常に不愉快な思いをしたという実体験が多数ありました。
それも男性ばかりではありません。
また迷子を見つけた場所も、寂しい郊外など、犯罪を犯しても目撃されないような場所ばかりでもありません。
女性がショッピングモールで迷子を見つけて、声を掛けたら、子供の親から不審者扱いされたなどと言う体験が沢山でているのです。
こうした体験をした女性は「自分は普通のおばさんだから、警察は無実をわかってくれるだろうから、これからも迷子を見つけたら助けようと思う。 でも夫や息子には絶対に子供にかかわるなという。」と書いていました。
ワタシは実は以前、迷子を助けるべきか?という問題について2回エントリーしています。
最初の「子供が怖い」は、自分が百合ケ原公園で迷子を助けた時に、2008年にあった事件を思い出してエントリーしました。
2008年の11月20歳の若者が一人でドライブ中に、6歳の女の子が迷子になっているを見つけました。
彼はこの子に声をかけたところ、子供が「母親に叱られたので祖母の家に行きたい」と言ったので、自分の車に子供を乗せて祖母の家に向かいました。
ところが子供のナビゲーションでは、祖母の家に行き着く事はできず、1時間余り彷徨った挙句諦めて交番に行ったのです。
ところが警察は彼を不審者扱いした挙句、TBSは実名報道までしたのです。
この記事は今も元記事が読めるのですが、しかしこれに対する弁護士のコメントがすごいです。
もしわいせつなどの目的でなく、親切心から女児を連れ回したとしたら、容疑者の男は本当に逮捕に値するのか。
テレビのコメンテーターとして知られる元検事の大澤孝征弁護士は、こう語る。
「全然知らない子を車で1時間半も連れ回すなんて、疑われて当然で警察も疑いを持たないといけません。判断力が十分でない6歳の女の子なら、いたずらされることもよくある状況です。親切心からでも、家出した子を自分の家に連れて行って捕まったケースもあります。警察が身柄を確保したことは、必ずしも非難できませんね」
さらに、親の立場に立って考えることが必要と話す。
「親なら、1時間半も連れ回されたらその間に何かあったのでは、と考えると思います。未成年者誘拐の本質は、親権者の監護権を侵害してはならないということです。親の保護の範囲から逸脱するような行為は、誘拐になります」
では、迷子の幼児を見つけた場合、どうすべきなのか。
大澤弁護士は、「幼児をそのまま警察に連れて行くならいいと思います。直接行くなら、車に乗せてもいいでしょう。親切心は大事ですが、親のところに帰すのが本来するべきことです」と話す。
容疑者の男が交番に寄ったことについては、大澤弁護士は、「確かに、交番に寄るなら犯罪の意図はないとの見方はあるかもしれません。しかし、客観的に見れば、誘拐状態の認識となるのは仕方がありません」と言う。
容疑者の実名発表も、事件である以上仕方がないという。マスコミ各社では、TBSが実名報道したのに対し、朝日新聞、産経新聞などは匿名報道と対応が分かれた。事件報道は実名が原則とされるが、朝日では、「取材したところ、犯罪性などに疑問点もあったため、容疑者名は匿名とするのが妥当と判断しました」(広報部)としている。
つまりあくまでこの若者が悪い!!という事です。
因みに記事では「連れまわし」と書かれていますが、しかしこの若者は、子供を連れてウロウロしようと思ったわけではないのです。
彼は子供を祖母の家に連れて行こうしただけなのです。
この子が若者に祖母の家の位置をどう説明したかはわかりません。
若者としては直ぐに祖母の家が見つかると思ったのでしょう。
保育士など常に幼児との会話に慣れている人ならともかく、日頃幼児とは接したこともない人間なら、幼児には大人のように合理的に車のナビゲーションは不可能などとは思い至らないのです。
子供が歩いていく心算のところであれば、直ぐ近くだからすぐに見つかると思うのは当然でしょう?
そして子供が案内して祖母の家が見つからないなら、親の家だって見つからないでしょう。
因みに交番だってすぐに見つかるわけではないでしょう。
この事件は2008年ですから、スマホもカーナビも持っている人は僅少です。
こういう条件を考えると、もう子供を直ぐに親元に戻すのも、また交番に連れて行くのも無理です。
それにしても親も弁護士も、もしこの若者が子供を助けてくれなかったら、この子がどうなっていたかは心配しないのでしょうか?
そして弁護士は親の不注意は責めないのでしょうか?
しかしこの弁護士はただひたすら若者だけを責めており、記事でも「容疑者」扱いなのです。 警察が事件性はないと判断しているにもかかわらずです。
しかしワタシがこの件で大変ショックだったのは、これについてエントリーした時に、頂いたコメントの中に、この若者が絶対にこの子に性犯罪をやっていると確信した物があった事です。
警察が事件性がないとしているにもかかわらず、それでもこの方は子供を車の乗せた事で性犯罪を犯したと確信してたのです。
こういう方が少数でもいるとなるともう絶対絶命でしょう?
だって性犯罪者、しかも幼児に対する性犯罪者であることを疑われては、今後どんな禍に遭うかわかりません。
自分自身だけでなく親族にも大変な迷惑がかかるでしょう?
親切心で他人の子供を助けようとしたら、社会的に抹殺されるかもしれない・・・・・。
これではもう子供を見たら逃げだすしかないのです。
しかもこの状況はあの事件以降ドンドンひどくなって、女性がショッピングモールで迷子を助けようとしても不審者扱いされるようにまでなってしまったのです。
こうなると今後、善意で迷子を助ける人は全くいなくなるでしょう。
迷子に声をかけるのは、本物の性犯罪者や誘拐魔だけになるでしょう。
つまり子供にとって非常に危険な世の中になっていくのです。
そしてこうした世相は少子化の一因だとも思うのです。
だってこんなんでは子供を見て可愛いと思う事だって危険です。
昔は幼児を見たら、全く見知らぬ人でも「かわいいね。」と声をかけていました。
でも今の感覚だとそんな事をしたら変質者扱いされかねません。
だからみんな子供にはかかわらないのです。
こういう状況で自分の子供を欲しいと思う人が増えるはずもないのです。