門田氏によると加藤厚労相は「中国人の渡航禁止が遅れた戦犯」だそうです。
加藤厚労相は元財務官僚で、国会答弁や記者会見では、常にいかにも官僚らしい慇懃無礼で気持ちの悪いヘラヘラ官僚スマイルを浮かべて、ゴニョゴニョわけのわからない答弁を繰り返したので、ワタシもすごく印象が悪いです。
鳴子百合さんは「髪型が嫌い」とコメントくださったけれど、ワタシはあの曖昧な笑顔が大嫌いです。
つまり見かけも話し方も、おおよそ女性から好意を持たれる人物ではないのです。
しかし冷静に日本の政府のコロナ対策を見ると、加藤厚労相の対応は極めて科学的・合理的で、その結果日本のコロナウィルスによる死者と経済的被害を最小限にとどめた事は事実なのです。
勿論、加藤は東大法学部卒で感染症については、何の知識もありません。
だから彼はこの対応を全部厚労相の技官と、更にその技官たちの意見に従って感染症の専門家に任せました。
そして日本には押尾仁博士や尾身茂博士など、世界最高レベルの専門家がそろっていたのです。
こうした専門家が作った専門家会議が策定した日本のコロナウィルス対応は他国のそれとは大きく違いました。
日本は欧米や韓国が盛大にやったPCR検査は最小限に止めました。
また感染者の隔離も非常に緩やかでした。
例えば欧米諸国がダイアモンドプリンセス号の乗客をチャーター機で帰国させた後も隔離したのに対して、日本の場合は検疫が終わった客はそのまま公共交通機関も自由に使わせて帰宅させてしまいました。
そして武漢からの渡航禁止は一番早かったものの、それ以外の中国から渡航禁止が決まったのは3月からです。
こういう日本政府の「温い」対応は、欧米メディアの嘲笑の的になり、門田氏等保守派は憤激して、「習近平の国賓訪問のため」として安倍政権を徹底的に攻撃したのです。
しかし現実には日本政府のコロナ対策は、これまでのところ大成功です。
人口比に占める死者数は、アメリカやEU諸国に比べても10~60分の1のという少なさです。
またロックダウンなど過激な政策を取らなかった事で、経済的なダメージも最小限に食い止めました。
実はワタシもこのコロナ対策には年初から凄く興味を持って何度もエントリーしています。
そしてワタシも実は始めのころは、日本政府の対応の手緩さと、それを追求されたときの加藤厚労相のヘラヘラ官僚スマイルを浮かべながらゴニョゴニョ答弁には、猛烈にむかつきました。
しかし専門家の意見を聞いてみると、結局これが正解だった事がわかってきました。
この新型コロナウィルスは、2019年に初めて存在を発見された「未知のウィルス」であること、中国が様々な隠蔽工作をやったこと、更にその情報隠蔽の一方で都市封鎖と言う凡そ21世紀とは思えない、まるで中世か古代のような防疫対策を取った事で、このウィルスの恐怖が極大化しました。
しかしそれでも押尾博士や尾身博士は公開情報からこのウィルスの感染力と致死率を冷静に判断し、このウィルスが感染者の厳しい隔離などを必要とする恐怖のウィルスではないと見切っていました。
一方でまたこのウィルスにはそこそこの感染力があり、しかも軽症者や無症状の感染者も多く、風邪と症状が紛らわしい事から、2019年に12月に発見されたときには、既に世界中に感染者が散らばっている事も想定していたのです。
だからアメリカなどがやったように2月のはじめから中国人の渡航禁止をやっても、あまり意味はなかったのです。
それに中国は1月末に武漢を封鎖したのを皮切りに、主要都市を次々と封鎖したので、感染地の中国人は海外旅行どころか、近所のスーパーにさへ自由には行けなくなったのですから、渡航禁止にしなくても中国人の大量入国は止まっていたのです。
またこのウィルスの感染力からして、旅行者から感染も実は僅少でした。
実際、中国からの渡航が禁止されたのは3月始めですが、それ以前に中国からの旅行者から感染した例というのは本当に少数です。
日本で感染者が激増したのは3月中旬以降です。
その原因は欧米から帰国した日本人です。
3月からイタリアで感染爆発が始まり、更にスペイン・フランス・ドイツ・イギリスに広がりました。
アメリカでもNYで感染爆発が起きました。
そして死者数も感染者数も、中国をはるかに超えて、多くの都市が武漢同様の封鎖に追い込まれたのです。
もし中国人の渡航禁止で感染が防げるなら、2月始めから徹底した渡航禁止措置を取っていたアメリカで感染爆発が起きるはずはないのです。
一方韓国は最後まで中国人の渡航禁止措置はとらなかったのですが、しかし死者は日本より少ないのです。
それは韓国が個人情報管理による感染防止を徹底したからでしょう。
いち早く中国人の渡航禁止措置を取ったアメリカでなぜ感染爆発が起きたのか?
それは実はアメリカは日本より遥かに多くの中国人移民や中国人観光客を受け入れており、それ故、感染者は実は2月以前から大量にアメリカに入っていたのです。
また欧州との往来は止めなかったので、イタリア始め欧州からの感染者はドンドン入っしまいました。
つまり本当に「水際作戦」でウィルスを防ぐには、2019年のかなり早い時期から中国人の渡航を禁止するだけでなく、最初から中国人だけでなく世界中からの渡航を禁止するしかなかったのです。
でもこれだと水際作戦などそもそも不可能なのです。
だから日本政府は水際作戦など、最初から取らなかったのです。
しかしそれでも門田氏などの憤激を見ればわかりますが、「水際作戦なんかできない」なんて事を厚労相があからさまに言えば、大パニックを起こす連中も出るでしょう。
またパニックを起こした連中が、厚労相の官僚や専門家会議の学者達を攻撃することは必定でしょう。
だから加藤厚労相としては、財務官僚時代に鍛えたヘラヘラ官僚スマイルと、慇懃無礼韜晦ゴニョゴニョ答弁を駆使してごまかし通しました。
勿論、本来ならちゃんと厚労相が日本政府の方針とその方針を建てた理由を説明するのが理想です。
しかし日本政府の方針とその理由については、尾身博士等専門家会議の専門家達が、二週間ごとに記者会見を開いて懇切丁寧に説明しているのです。
そして記者達からの質問時間も十二分に取り、きちんと質問に答えていました。
それをちゃんと見ていれば、低学歴のワタシでさへ水際作戦の無意味さがわかったぐらいですから騒ぐ事などありえないのです。
ところがこれを見ていない連中が、「中国人の渡航禁止しろ!!」と騒いでいるのですから説明しても無駄なのです。
だったら厚労省の官僚と専門家達を守る為には、厚労相がヘラヘラ官僚スマイルを浮かべながらコイツラの矢面に立つしかないでしょう?
だからワタシは加藤厚労相のヘラヘラ官僚スマイルは気持ち悪いとは思いますが、結果を見ればよくやったと思うのです。
それを既にこれだけの結果が出ているのになお「中国人の渡航禁止を遅らせた戦犯」って何ですか?
なるほど中国人が来ない方が安心ですが、でも観光業者にとっては死活問題です。
そしてまた中国人の渡航を止めれば、中国と日本を往来する飛行機もなくなり、在中日本人の帰国も難しくなるのです。
因みに死者数だけなら、日本より少ない国も多数あります。
しかし感染症対策と言うのは、経済活動や社会活動とのバランスを取ってやるべき物なのです。 また私権の制限はどこまでできるか?と言う問題もあります。
その意味では日本は、私権の制限・経済・社会活動へのダメージ・死者数共に世界最高レベルに抑えたという奇跡的な成功をしました。
これはやはり厚労省が最初に打ち出した対応方針による物でしょう?
そしてひたすら「未知のウィルス」の恐怖をあおるマスゴミを一部言論人に流されず、絶対に最初に打ち出した科学的・合理的な方針を変えずにそれを実行し通したからでしょう。
その意味では加藤厚労相のヘラヘラ官僚スマイルの功績は非常に大きいです。
彼は海外のマスゴミの嘲笑や安倍総理のコアな支持者であった保守系言論人の攻撃を一身に受けながら、ヘラヘラ官僚スマイルを浮かべて部下の官僚や専門家を守り通して、この方針を貫いたのですから。
これなら官房長官になっても、イソ子なんぞに失言を取られる心配はなく、ヘラヘラと気持ちの悪い官僚スマイルを武器に首相と部下を守りとおすんじゃないでしょうか?